夢2 | ナノ


  黒子





夜の帳の中、蝉の声が収まることもなく響き続ける。私とテツヤくんの手は繋がれたままふらふらと揺れる。それに合わさるように下駄の音がカランコロンと響く。

「本当に花火大会じゃなくて良かったの?」
「はい。人混みも苦手ですし…ナマエさんは行きたかった、ですよね」
「ううん!違うっそうじゃなくて…」

テツヤくんの手には先程買った手持ち花火とバケツ。月明かりの道を二人で川原を目指している。今日は隣町で大きな花火大会がある。けれど彼はこちらの手持ち花火がしたいと言って来た。テツヤくんからの我が儘というか要望はほとんどなくて、私は一も二もなく頷いたのだった。

「ボクはたくさんの人の花火よりナマエさんとこうして二人で楽しみたいんです」
「テツヤくん…」
「こんな綺麗なナマエさんを他の人に見られたくないですし」
「へっ綺麗なんてそんな―」



「…大好きなナマエさんを、独り占めしたいんです」

だから、花火は二人で楽しみましょう?
握り直された手から強く熱い想い
私はぶんぶんと頷くだけで精一杯だった








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