夢2 | ナノ


  水戸部






*社会人ヒロイン(変換なし)









19:57
デジタル時計がその時を刻一刻ときざむ。間に合うかな?と玄関の扉へ視線を走らす。

(今度の花火大会、私の部屋から見ない?)

部活があることはわかっていたし無理はしないでねとは言ったものの、やはり一緒に見て楽しみたい。この小さな街での一年に一度の花火大会を彼と一緒に。

「…まぁここからなら、一人でも寂しくないし」

ガラガラとベランダへと続くガラス戸を引くと、川の周りの電灯がぽつぽつと消されていく。もうすぐかなと部屋の時計を見ようと後ろを振り返ろうとした瞬間、後ろから熱い腕に抱きしめられた。

「―凛くん?」
「っはぁ……っ」
「…走って、来てくれたの?」

息が整わないらしく荒い息を繰り返す肩に手を置きつつ問えば、必死に首を縦にふる仕草を感じ、胸を熱いものが埋め尽くす。

「凛くん―っ」

私の我が儘に全力で走ってきてくれた彼に涙が止まらない。それに気づいた凛くんが、そんなのなんでもないよと優しく拭ってくれる。くるりと身体を反転させ彼の胸の中で、ごめんねと何度も呟く。
流れ続ける瞳に困ったような微笑みが映る。そっと綺麗な指が私の唇を止め、ゆっくりと小さく首を横に振る。

「…ありがとう、凛くん」

そう言えば、はにかんだ微笑が視界いっぱいに広がる。始まっていた花火を後ろに聞きつつ私たちは唇を重ねた。








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