夢2 | ナノ


  宮地







「お前……」
「…みなまで言わないで」
「下手くそすぎだろっぶはっ」

ぷるぷると震える指先には小さな刷毛。そんな私の姿をお腹抱えて笑うのは彼氏のはずの宮地。じと目で見ても彼は変らず笑うだけで、さすがの私も堪忍袋の尾が切れそうだ。

「そんなに笑うことないでしょ!」
「いや、だってナマエっどんだけ時間かかってんだよ」
「…むー」
「しかもはみ出してるし」
「うっ…」

サンダルを履くこの時期にペディキュアはかかせない。なのに…私の指先はうまく動いてくれなくて。斑が出来たりはみ出したり…散々である。はぁと溜息をつけば視界の先に見慣れた指先が映り、それはそのまま私の刷毛を奪った。

「宮地…?」
「ナマエがやってたんじゃ、いつまでも終わらねぇからな」

そう言いつつ宮地は刷毛に液をつけサラリと私の爪を彩っていく。自分と同じ刷毛を使っているとは思えないほどそれはスムーズに動きではみ出すこともなくその色を輝かせる。

「ほあ〜」
「なに間抜け面してんだよ。終わったぞ」
「……あ、ありがと」

あっという間に終わり呆けていればおでこを軽く拳がぶつかる。擦っていれば頭上にふりかかるいつもより優しい声。

「それ乾いたら行くぞ」
「えっ行くってどこに―」
「……デートに決まってるだろ、轢くぞ」

自分で言っておいて照れたのかダイニングへ逃げた宮地に私は小さく笑って早く乾いて欲しいと鮮やかな爪先を見つめた。








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