バカだな



ボクは走っていた。
ライト博士のいる研究所へと。
ボクの背中にいるロボット、アイスを一刻も早く直してもらうために。


アイスは気を失っている。
ついさっきまで、ボクはアイスと戦っていた。
アイスはワイリーに改造され、戦うよう命じられていたからだ。

「……アイス」

返答が来る事はない。
そうと分かっていてもボクは続ける。

「…待ってろ、すぐ直る」

自分でも不思議だった。
独り言さえボクはほとんど口にしない。
それが今、こうして独り言のように声を出している。

「……イ…ム…様……」

ボクは驚き、気づけば立ち止まっていた。
背中にいるアイスを見たが、アイスは傷だらけでぐったりしている。
気のせいかと思い再び走り出そうとした時だった。

「ご…めん…なさい…であります……」

ぐったりしたまま、譫言のように。
確かに、アイスは声を出した。

その謝罪が誰に向けてのものか、正直わからなかった。
ボクは再び走り出す。
そうしながら、無意識に声を出していた。


バカだな


(……悪いのはあいつだろ。オマエは何も悪くない)

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