想い


雪の降るウゴすと〜んサークル。
かつてここから宇宙に行った。
おまつり村で休んでいたのだけれど、私は夜中に目が覚めて。
サスケさんがいない事に気付いて外に出て来た。
恐山にも、海岸線にもいなかった。
だとしたらここしかないと思って、このウゴすと〜んサークルに来た。

「…サスケさん」
「ヤエ殿?」

思った通り彼はここにいて。
満月が輝く夜空を見ていた。

「こんな夜中にどうしたの?」
「目が覚めて…中々寝付けなかったでゴザルから、散歩に来たのでゴザルよ。ヤエ殿はどうしたのでゴザル?」
「私も目が覚めて…サスケさんがいなかったから探しに来たの」
「そうでゴザったか…すまないでゴザル」
「ううん、いいのよ」

何事もなくて、ホッとした。

「私も、いいかしら?」
「もちろんでゴザルよ」

夜空を見るサスケさんの隣に私は立つ。
話の内容が浮かばなくて、私もサスケさんも無言になる。
雪の降る夜空を見たり、辺りを見回したり。
こんな時…だからかしら。
思い切って言おうと、そう思った。

「…サスケさん」
「どうしたのでゴザルか?」

顔だけこちらに向けたサスケさんにそっと近付いて。
私はサスケさんを思いっきり強く抱き締めた。

「ヤ、ヤエど…!?」
「…好き…」
「…!?」

小声で言った私の気持ち。
たった二文字だけれど、意味は深くて。
何だか切なくて、やっぱり恥ずかしくて。

「ヤ…ヤ…ヤエ殿…い、今…!?」

あわあわと腕の中でサスケさんは慌てながらそう言って、私は先程と同じ事を言う。

「…好き」
「ヤ…ヤエ殿…」

先程まで慌ててたサスケさんの様子が段々とおさまって、小声で言葉を口にする。

「せ…拙者も、ヤ、ヤエ殿がす、す…好きでゴザル…!」
「サスケさん…」
「…しかし拙者は…ヤエ殿とは違い…からくりでゴザル…」

私も同じ事を考えた。
サスケさんの事が好きなんだと意識する度に、彼はからくりなのだと頭の中によぎった。
けれど、からくりであろうと何だろうと、好きって事に変わりはない。
そう思ったの。

「いいの…からくりでも…サスケさんはサスケさんだから…」
「ヤエ殿……かたじけない……」

そう言って、サスケさんもそっと私を抱き締めてくれた。

「…ヤエ殿…」
「何かしら…?」
「…だ…大好き…でゴザル…」
「私も…大好き…」

今度ははっきりと言って雪の降る中、暫くお互いに抱き締めあった。

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