近藤と共に真選組の屯所へとやって来た名前。 愛用の割烹着を持参し、やる気も十分だった。
――しかし、
「何だァ?」
バタバタと屯所内の様子が慌ただしいような。 近藤も心当たりがないのか、訝しげな顔をする。
「近藤さん、何処へ行ってたんですかィ?」
そこへ現れたのは一番隊隊長・沖田総悟だ。 名前は早速知り合いに会えたと嬉しそうに会釈をする。 沖田の方は近藤の傍に立つのが名前だと解るなり、僅かに瞳を見開いた。
「何でアンタが」
「おう総悟。名前さんにはな、今日の祝賀会の手伝いに来て貰ったんだ」
そう言って豪快に笑う近藤を眺めながら沖田はハァと冷めた溜息を吐く。
「近藤さん。その祝賀会は中止になりやしたよ」
「え!?そうなのォ!?」
「何でも至急隊士募集の遠征に出なきゃならなくなったって伊藤先生が」
「ええェェェ!!」
どうやら今回の依頼はキャンセルになりそうだ。 名前は万事屋で帰りを待つ仲間の顔を思い浮かべながら苦笑を洩らした。
(残念がるだろうな)
万年金欠の万事屋にとって、焼き肉などの高級料理は滅多に口にする事がない。名前が家事を担当するようになり、大分まともな食事を口に出来るようになったが、それは名前の努力の賜物というだけで、決して裕福になった訳ではないからだ。
だからこそ『今回の報酬で焼き肉!』と瞳をギラギラ輝かせていた銀時達の事を思うと、少しだけ申し訳ない気になる。
「それじゃあ近藤さん。私、帰ります」
それでも長居する理由がないのも確か。帰って今晩のおかずを考えよう。買い物も行かなければ。
二人に軽く頭を下げ、名前が踵(きびす)を返したその時だった。
「沖田君、そろそろ支度を……ん?君は――」
名前の耳に届く、第三者の声。 その声に促され、振り向いた視線の先には、賢そうな顔立ちの、一人の男が佇んでいたのだった。
◇ ◇ ◇
一方。戦場という名のテレビ局に向かった新八は、『二次オタと三次オタが討論を交わす』という、何ともマニアックな番組収録に参加していた。
寺門通親衛隊の隊長を務める新八は何時もの地味キャラを脱ぎ捨て、三次オタ代表(ウザイ奴)として二次オタの連中に食ってかかる。勿論、二次オタ達も黙ってはいない。
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