「…ハァ……ハァ…っ」

一体どの位の間、私は逃げ続けているのだろう。
平穏だった私の村を、突如襲った謎の集団。
どうして村が襲われたのか。
私を逃がす為、残った両親がどうなったか。
それすらも解らない。

「…ハ…ハァ…ハァ…」

私は足を止め、乱れた呼吸を整える。
早く、早く助けを呼ばなければ!
疲労の身体に鞭を打ち、再び森を駆けようとした時。
前方で何者かの気配を感じ、私は息を飲む。

「やっと見つけたぞ」
「っっ」

最悪の状況だった。
まさかこんなにも早く追っ手に追い付かれる何て!

「手間をかけさせるな。もうお前に逃げ道はない。大人しく捕まるんだ」

私は両手を握り締めながら少しづつ後ろへ後ずさる。
夜盗相手に私が逃げ延びれる可能性はゼロ。
私が捕まってしまえば、近隣の村に助けを呼びに行く事すら出来ない。
どうしよう。どうすれば!

パキッ

絶体絶命のピンチに陥ったその時。
今度は背後の茂みから物音が響いて。

「…たく、ギャーギャーギャーギャーうるせーな。
 …お兄さん達ぃ、今何時だと思ってんのー?」

凛とした…けれど何処か気だるげな声色と共に、私の前に現れたのは、夜の暗闇でも良く分かる、綺麗な銀色の髪をした、一人の若い男だった。


月の雫 01

≫4月から再会したアニメに吊られて、つい手を出してしまった銀魂の夢小説。誰をメインに進めて行くかは未定です^ ^