on May 5th
「…何してるの」
「な、何度も声を掛けたんですけど、雲雀さん中々起きてくれなくて…。暇だなあと思ってたら…つい…歌を――ι」
起こしてゴメンなさい…名前はそう言って、困ったように笑う。
「………」
初めて雲雀を起こした時は、泣きそうな顔をしていたのに…。何度も起こしてしまう内に、彼女も少しづつ免疫が出来た…と言う事だろうか。
「…それで何?…何か用があったんでしょう」
「あ、そうでした!雲雀さん一緒に来て下さい」
「どうしたの?」
「今、下で雲雀さんのお誕生日パーティーが開かれてるんですよ!!」
「……絶対行かない」
ふいっ、とそっぽを向く雲雀に名前は「そんな事言わずに…っ」と慌てて駆け寄って来た。
…顔が……近い。
「…、……君に何と言われようと、僕は群の中に入る気はないよ」
「でででも、雲雀さんの為に沢山の人が集まってるんですよ!」
彼女の口から"沢山の"という単語が出た瞬間、雲雀の眉根がぴくりと動く。それに気付いた名前は慌てて口元を押さえた。
「……何時もの連中だけじゃ………ないの?」
「はぅぅ〜ι」
どうやら"YES"という事らしい。隣でう〜う〜唸る名前を横目に雲雀はもう一度瞳を閉じる。此処から動くつもりはない。彼なりの意志表示だ。
「本当に、参加されないのですか?」
「…諄いよ…」
これだけ言えば彼女も諦めて戻るだろう。そう思っていたのに何故か名前は隣に腰掛けて…、
「それなら、私も此処に残ります」
意外な事を口にした。
他の連中を放って置いて此処に残る?人付き合いの良い彼女にしては珍しい。雲雀は閉じていた瞳を開け名前を凝視する。
そんな雲雀の視線に気付き、名前は、ふわりと微笑みを向けた。
「だって主役の居ないお誕生日会なんてつまらないじゃないですか。それに…折角のお誕生日を一人で過ごす何て、何だか寂しいなと思うから」
つんつん…とヒバードの頭を撫でながら名前は視線を逸らす。それから「一緒に居る相手が私で申し訳ないんですけどね…」と苦笑を浮かべた。
「………」
『寂しい』と言う感情を自分に求めるのは間違っていると思う。弱い草食動物のように群れる事は嫌いだし、一人が好きだ。一人は心地良い。
でも、名前は別。