この白い雪と…

「山本さーん」

「お、来た来た」



一軒のお店から大きな荷物を抱えて出て来た私を、道路脇の手摺りに凭れて待っていた山本さんが笑顔で迎えてくれる。



「お待たせしました」

「否、そんな待ってねーから急いで出て来なくても良かったんだぜ?」

「そう言う訳にはいきませんよ!外は寒いですし、それに荷物を持って頂いたままですから」



そう。荷物を抱えているのは私だけじゃなく山本さんも同じだ。否、その倍の荷物は抱えている筈。何故私達がクリスマスにこんな大荷物を抱えているのかと言うと…?



「全くツナには驚かされるよな。突然『内輪だけでパーティーしよう』何て言い出すんだからさ」



今朝、我らのボスである沢田綱吉さんが突然クリスマスパーティーをしようと言い出したのだ。

沢田さんの突拍子もない提案に、獄寺さんと私以外の皆さんは大反対!それでも『ボス命令』と言う事で、半ば強制的にパーティーの準備をさせられる事になったのだ。



「本当ですね。でも自分達で全部準備するのって、何だか楽しいです」

「アハハ。確かにな♪」

「帰ったら山本さんがお料理をされるんですよね?私もお手伝います」



賑やかな町並みを二人並んで歩き出す。

この時期、町を彩るのは赤と緑のクリスマスのオーナメントだ。行き交う人々も何だか楽しそう。



「そうだ!あの山本さん、私お聞きしたい事があるんですけど…」

「ん?」

「この買い出しって確かジャンケンで負けた方が行く筈でしたよね?なのにどうして途中からジャンケンで勝った方が行く事になったんですか?」



沢田さんがパーティーをやろうと言い出した直後、屋敷にはパーティーに関するモノが何もない事に気付いて誰かが買い出しに行く事になった。

でもこの寒空の下、自ら進んで外に出ようという者は居らず(雲雀さんと骸さんは初めから行く気なし)、ジャンケンで負けた人が買い出しに行く事になったのですが、何故か途中から勝った人が行く事になって…。

それはどうしてなのか、ふと疑問に思った私は山本さんに訊ねてみた。



「嗚呼〜…それ、な」



でも、山本さんも苦笑を浮かべて言い難そうにしている。私がコートを取りに行っている間に、一体何があったんだろう?










≪山本side≫


遡る事、数時間前…。

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