私を連れ去って
「あれ?今日はお客様がお見えなんですか?」
何時もの日課で人が多く集まる厨房に顔を出した私はテーブルの上に準備されたティーセットを目にして、そう尋ねた。
メイドさんの話によると、沢田さんの同級生が来ているのだとか…。マフィア関係以外の方がボンゴレ邸を訪れるのって凄く珍しいんですよね。一体どんな人なんだろう〜…。ちょっとお会いしてみたいな、何て―…。
あっ、そうだ!!
「あの、このお茶私が運んじゃ駄目ですか?」
◇ ◇ ◇
突然の提案に渋るメイドさん達を説得して、何とか給仕を任せて貰えた私は、沢田さんとお客様の待つ応接室を訪れた。
コンコン。軽いノックの後、中から「どうぞ」という返事を聞いて、そっと扉を開ける。
「失礼します。お茶をお持ちしました」
「え…名前!?」
入って来たのが私だった事に驚き、珍しく慌てた様子を見せる沢田さん。
だけど私の方も驚いたんです!だって、そこには骸さん以外の守護者の皆さん全員が揃って居たから。これは一体…。
どうして皆さんまで?
疑問を口にしよう
とした時、沢田さんの前に座って居たお客様が急に立ち上がり…。
「貴女がお兄ちゃんの言ってた名前ちゃんかな」
私は又々ビックリ。だって沢田さんの同級生だから、てっきり男の人だと思って居たんです。なのに目の前で優しく微笑むのは可愛いらしい女の人…。それにこの人は私の事を知っているみたい。
「え、えっと…」
「京子、名前が驚いているではないか。自己紹介位したらどうだ」
困惑する私に笹川さんが助け船を出してくれる。…あれ?キョウコ??何処かで聞いたような…。
「あ、ご免なさい。じゃあ改めて……初めまして名前ちゃん。私、笹川了平の妹の笹川京子です。お兄ちゃんから貴女の話を聞いて、ずっと会ってみたなと思ってたの♪」
「!!」
思い出した!前、笹川さんが教えてくれた妹さんの名前。確か京子さんって…。じゃあこの人が。可愛らしい人だな///…って見惚れてる場合じゃなかった。挨拶、挨拶!
「は、初めまして名字名前です!私も笹川さ…、お兄さんからお話を聞いていて、お会いしたいと思っていました」
「うわぁ〜本当♪」