好きと嫌い

今日は12月24日――クリスマス・イブです。

恋人達は愛を語り、家族は団欒(だんらん)を過ごす…素敵な日。そんな聖夜に私はと言うと?



「皆さん今頃楽しんでいらっしゃるでしょうか」



誰も居ない広い、ボンゴレのお屋敷で一人寂しくお留守番です。

『特別な日は大切な人と過ごして欲しい』――と言うのが我がボンゴレファミリーのボス・沢田綱吉さんの考えらしく、彼や守護者と共に同盟ファミリーが開くクリスマス・パーティーに参加する部下の方以外は、今日明日の二日間。特別休暇に成っているらしい。

だから現在この屋敷に私は一人きり。メイドさんすら居ない状況なのだ。
心細くないと言えば嘘になるけど、皆さんはお仕事で出掛けているのだし、それに部下を思いやる沢田さんの気持ちはとても素敵だと思うから。



「私一人でもしっかりお留守番しなければ!」




◇ ◇ ◇


夜10時。寝るにはまだ早い時間だから、少し本でも読もうかとベッドサイドに置いていた読みかけの本を手にした時だ。


コツン、コツン。


窓で何かぶつかる音が聞こえて、私は顔を上げる。最初は風かなと余り気にしていなかったのだけど、一回、また一回と絶える事なく続く物音に、流石に疑問を感じた。



(まさか泥棒!?)



私は恐る恐る窓に近付きカーテンに手を掛ける。一瞬の躊躇(ためら)いの後、勇気を出してカーテンを引くとそこには…!



「・・・ヒバード?」



丸くて黄色いふわふわの、私も良く知る小さな小鳥が居た。――どうしてヒバードが此処に??

何て考えるのは後にしよう。今は早く中に入れてあげないと…!私は素早く窓を開ける。



「ナマエ ナマエ」



瞬間、私の名を連呼しながら部屋に入って来るヒバード。だが天井を2・3回旋回すると直ぐに外へと出て行ってしまう。私は慌ててその後を目で追い、そして見つける。

暗い闇の中でも良く分かる、漆黒の髪と切れ長の瞳…。ヒバードの飼い主である、あの方の姿を。




◇ ◇ ◇


「雲雀さん、どうされたんですか!お一人で」



カーディガンを羽織って応接室へと向かった私は、コートを脱ぐ雲雀さんを見つけて慌てて声を掛けた。私が驚くのも無理はないのだ。だって今夜は皆さんお帰りにならないと聞いていたから…。

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