永久の誓い
他の守護者よりも、一足先に任務から帰宅した獄寺隼人は、自身を出迎えたてくれた“ある人物”の変化に顔をしかめた。
「どうかしましたか?」
獄寺の前には、不思議そうに首を傾げる名前の姿。名前が任務で帰宅した獄寺達を出迎える事は、決して珍しい事ではないし、寧ろ、出迎えなければ何か合ったのではと心配になる位だ。けれど、
「お前……何者だ?」
これは明らかに名前ではない。名前の姿をした全くの別人だ。獄寺は素早く匣を開匣し、フレームアローを構える。
「答えろ」
目の前にいるのは名前ではない。それは分かっている。分かっているのに…。こうして武器を向ける事に、酷く動揺している自分がいた。獄寺はキッと唇を噛み締める。
「何者だって聞いてんだよ!さっさと答えて、てめーの正体見せやがれ!!それに名前は――、名前はどうしたんだよっ」
冷静に対処しようと思った。だが無理だ。名前が関わっているかも知れないと思うと、どうしても感情が高ぶってしまう。
「答えろ!!!!」
獄寺が一層大きな怒鳴り声を上げた、その瞬間。
「くく」
名前の口から洩れた、低い……男の笑い声。
「随分、余裕がねーな。それじゃあコイツが弱点だと直ぐにバレるぞ」
直後、名前の身体が真っ赤な死ぬ気の炎に包み込まれ、その炎が消えると同時に、獄寺の前には、左頬にタトゥーを入れた赤毛の男が姿を現す。
「――だが、歌姫との絆は、それなりに出来てるようだな。それさえ分かれば文句はねー」
男は口元に笑みを浮かべつつ、そう言葉を洩らすと、獄寺に向き直った。
「ボンゴレ]世の嵐の守護者・獄寺隼人。てめーを俺の跡を継ぐのに相応しい相手と認めてやる」
「お前の跡…だと?」
男の理解不可能な言動に、獄寺は混乱する。
「お前…一体何者だ?」
獄寺は自分でも驚く程、冷静な声で訊ねていた。そんな獄寺の問い掛けに、男が告げたのは――。
「初代嵐の守護者・G」
更に驚く答え。今度こそ言葉を失う獄寺。何故って、この男は“初代”と言ったのだ。初代守護者と言えば何百年も前の人間。そんな人間が、この時代に存在する訳が…。
「!」
ない。そう結論を出す獄寺の視界に、ふとあるものが飛び込んできた。