恋は盲目

この世の中に、一度でも好きな人に『告白』をした事がある女性はどの位存在するのだろう。

生まれて此の方『告白』とはほぼ無縁の世界で生きて来た私…。そんな私に取って、自ら告白をする勇気のある女性は憧れの象徴でもあった。

――だけど私は、今その“憧れの人”に自分からなろうとしている。初めて下した一大決心だ!



(私、告白します)




◇ ◇ ◇


そう決心したまでは良かったが『いざ告白!』となるとどうしても身体が竦んでしまって…。悩みに悩んだ末、私はある人の元を訪れる事にした。



「…で?何で俺のトコに来んだよ、バカ名前」



目の前には眉間に皺を寄せ、不機嫌そうにそっぽを向く獄寺さんの姿。



「すみません獄寺さん。でも、誰に相談したら良いのか分からなくて…」

「だからって俺の所に来んじゃねぇ!!お前も俺が色濃い沙汰には興味がねぇって知ってるだろ!……そう言う話なら山本か芝生頭にでも――て、体育会系にこの手の話は無駄か。一般人には理解出来ねぇ答えが返って来やがる。じ、じゃあアホ牛だ!あれでも一応女にはモテる――が相談相手には向かねぇな。それなら雲雀か骸にで…も――」



言葉に詰まる時点で彼も分かっているとは思うのが、一応聞いてみよう。



「相談…出来ますか?」

「無理だな」



ガックリと項垂れる獄寺さん。そんな彼を見て私はふふっと笑みを零す。



「獄寺さん。そんなに悩まないで下さい。相談と言っても、そんな大袈裟な事じゃないですから…。ただ本当に良いのか迷っているだけ何です」



獄寺さんがふっと顔を上げる。そこに浮かんでいたのは『何をだ?』と言う疑問の表情だった。



「前にラル・ミルチさんに言われたました。歌姫は『守護者の誰かと婚姻を結ぶのが決まりだ』と…。でも私は…好きになってはいけない人を好きになり、自分の想いを伝えようとしています。それが本当に正しい事なのか分からなくなって…」



私が本当に悩んでいた訳。それは『初めての告白に戸惑ってる』と言う理由だけではなかった。

私が好きになった相手。彼は長く続くボンゴレと歌姫の歴史の中で、唯一結ばれる事を禁忌とされた禁断の守護者だった。

その者を好きになる事は、これまで先代達が築き上げて来た長い歴史を壊してしまう事になる。だから自分の想いに気付いた時、私は心に鍵をかける事にしたのだ。必死に気持ちを押し込めて、彼の事を諦めようと…。

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