鏡の中の世界

結局、元の世界に戻る方法も分からない侭、放課後になった。空はオレンジ一色に染まっており、その下を朝と同様、沢田さんと並んで帰宅する。

こうして行き帰りを共にするのが私達の日課になっているらしい…。

それにしても今日は大変な一日だった。一日を振り返ってつくづく思う。

何かヘマをするのではないかと冷や冷する事もあったが、何とか無事に中学生として過ごす事が出来たようだ。うん。中学生として過ごす点では問題なかったと思うが、他の部分で困った事が…。



「……何だ?」

「い、いえっ!!!」



それはこの隣を歩く少年。沢田綱吉さんだ。彼のお陰で『この世界の私』は非平凡な生活を余儀なくされているらしい。

2年A組、沢田綱吉。『頭脳明晰』・『スポーツ万能』・『容姿端麗』の三拍子が揃っている上、あの並中最強の風紀委員長、雲雀恭弥さんと互角に張り合える事から、女子生徒の間では絶大な人気を誇り、ファンクラブまで設立されている、超が付く程の有名人だ。

朝、沢田さん達に教室まで送って貰い(※それが何時もの日課らしい)中に入った瞬間聞こえて来た『キャー!』という黄色い悲鳴から始まり、彼らのクラスが体育をすると、全校の女子が授業そっちのけで応援するのだから…ビックリだ。

そんな人の幼なじみをしている所為か、私に対する憎悪や羨望の眼差しが痛いの何のって…。おまけに沢田さんの友人である獄寺さんや山本さんも人気があるものだから、私に対する嫌悪感も二倍。『この世界の私』はよくこの状況に耐えられるなと感心してしまう。



「……名前?…今日は本当にどうしたんだ?朝から変だぞ…」

「ぅぇえ!?そ、そんな事ないですよっ!………そそそそれより、本当に雲雀さんの所に行かなくて良かったのですか?」

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