≪UNDER 20≫


『 早く大人になりたい 』


私はこの18年間、この言葉を今までに何度言っただろうか。それほど大人になりたかった理由があったわけでもなかった。ただ「大人ってかっこいい」とか、そんな簡単な理由。

だけど。


「こんな大人にはなりたくない。」

「あァ?」


私の目の前で指で鼻をほじっている彼、坂田さんは20代とは思えないオッサンくさい。あぁもう、やめてやめて!そのまま寄るな近づくな!!


「何か今俺に話しかけたかァ?大人がどうとかって」

「いっ、いえいえいえ!そんな事一言も言ってませんよ!」


私と坂田さんはとあるコンビニでのアルバイト仲間。何故私がバイトなんてしてるかというと、とにかく自分でお金を稼いでみたかったから。で、彼の理由は家賃がどうとか、米がなんたら。…とにかく現在私が想像する以上に生活に苦しんでいるらしい。


「あー…なァ、マイちゃん」

「は。はぁ、なんでしょうか?」

「この商品全部貰っちまってもいいかなァ」

「いいわけねーだろ!」

「だってよォ、俺達っていうか俺?ほぼ一日中働いてんのによォ、給料上がんねーんだもんよォ…そりゃグレてもおかしくなくね?」

「グレるっていうか、もうそれ犯罪の域に入ってますけど」

「何?犯罪って何?美味しいの?」

「坂田さァァァァァァん!!」


私はよだれを垂らしながら商品を盗ろうとする坂田さんを必死に止めた。


「ていうか、そんなに言うならアルバイト先変えたらいいじゃないですか!」

「あー…………嫌だ。」

「そんなにコンビニ好きなんですか?坂田さんって」


そう聞くと坂田さんはいきなり黙り込んで、私をじっと見つめた。私は心臓が止まるかと思った。暫く私を見つめてから、坂田さんは口を開いた。


「マイちゃんさァ」

「…はっ、はい?」

「俺がここからいなくなってもいいの?」

「……へ…」

「俺が、バイト先変えてもいいの?」


な、何言ってるの。そんなの別に、私の意見なんか聞かなくてもいいのに。


「え、えっと…」

「……………」

「わ、たしは、それが坂田さんの為になるのなら、い、いいと思います…けど」

「…………、そうかァ」


すると坂田さんは一瞬悲しげな表情を見せた。そして、私の頭をポンと撫でて口を開いた。


「ワリィ、忘れてくれな。今の事」

「…」


その時、少し感じた歳の差に私は何故か胸が痛んだ。

それから坂田さんはいつものように話しかけなくなった。何でかな、私のせい?だったらあの時彼は私になんて言って欲しかったのかな。そんな不安が渦巻く中、数日後、坂田さんはバイトを辞めた。



「……」


坂田さんがいない。そんな事想像したこともなかった。いや、できなかった?だって、彼が近くにいる事が当たり前だったから。


「すみません」

「あ、はい」


今やっているレジ打ちの時も隣にはいつも彼がいた。いつも私をからかっていても、解らないことがあればいつも助けてくれた。

品揃えをする時も、休憩の時も、閉店前の掃除も。ずっとずっと隣にいてくれた。ずっとずっと笑っていてくれた。


「私、」


彼がいないとダメなんだ。


『 俺がここからいなくなってもいいの? 』


いいわけない。そんなの全然よくないよ。本当はきっと、心のどこかで否定したい気持ちがあったんだと思う。


「……、坂田さん」


不意に呟いたその名前。恥ずかしくなって見ると店内には私以外誰もいなくてホッとした。と同時に涙がボロボロ溢れ出してきて、私はその場にしゃがみ込んで静かに泣いた。


「っ、坂田さん…」


帰ってきて。お願い。もう、どこにも行かないで。


「何してんだァ。こんな処で」

「っ!」


その時、頭上から聞こえる彼の声に私は顔をあげた。するといつものあの憎たらしい笑みをした彼がいた。


「坂田さん…」

「オイオイ、どうしたァ?まァた何か失敗したのかァ?」

「…」

「ったく、やっぱ俺がいねーとダメだなァ。マイちゃんは」

「……!」


私はぎゅっと彼を抱きしめると、彼は固まったように動かなくなった。


「…っ、やっぱり私、坂田さんがいないとダメなんです」

「…」

「だから、……戻ってきて」


そう言うと彼から息を吐くのが聞こえる。やっぱり怒ってるのかな。そう思ったら、


「…なァに嬉しいこと言ってくれちゃってんのォ?」

「え、」

「ハァー、まだわかんねェか。俺がバイトここでしてるワケ」

「…はい」


すると坂田さんはニッと笑うと、私を一度自分から離し、顔を近づけてこう呟いた。


「お前がいたからだ」


その時の彼の表情は子供の私には出来ない表情で。それからすぐに唇に感じた温もりが彼のものだと気づくのは、少し後のお話。

そして、やっぱりこの人のようにはなりたくないと改めて思い返すのも、またその少し後のお話。



END







*アトガキ*

サプリさん、長らくお待たせしました!相互記念品のお届けです。

リクエスト通りにやるつもりだったんですが…すみません、何かおかしいですね。いや、明るいとは思いますが…どこが面白い?みたいな。微妙な小説で申し訳ありません、ホンット!orz


一応この作品の補足をさせて頂くと、この小説の設定は現代パラレルですので、本編の「銀魂」とは全く関係ない設定です。そしてその後、銀さんはバイトをまたヒロインのいるコンビニに変え、まぁ多分今まで以上にアタックを続けていることでしょう。という妄想をしてみたり^^←


それでは。こんなグダグダな小説で申し訳ないのですが…相互記念品です。お届けです!はい!←

今後とも当サイトとそして管理人共々よろしくお願いします^^*


2009.0305
アイ





アイ様から相互記念品として頂いた夢小説です(>_<)
お相手は銀さんで明るいというか、楽しいというか、ギャグというかという何ともハッキリしないリクをしたらこんなにも素敵なものが!!!
これからもヨロシクお願い致します♪

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