クユリさん
本当はもっと早くから伝えておきたかったことをあなたに直接言うべきだったと手紙を書きながら後悔しています。でもあなたを前にすると上手く言葉にすることが出来なくて、何でも受け入れてくれるあなたの優しさに甘えてしまう、だから長くなってしまってもこうして文に残すことにしました。
冬は無事に治まりましたか?そのようにするのが私の務めなのに、結果を知るのはいつも遅くなるので封印する前から気がかりだったりします。
私が眠りについてから恐らく今日で半年が経ったと思います。この手紙がちょうど半年後にあなたに届くように、ある方に頼んでおきました。あなたが半年も待っている間、私の時は止まったまま、あなたの過ごした半年間を知る由もありません。本音を言うとやはりあなたとそこからの半年も一緒に居たかった。
色々思えば言いたかったことやりたかったことは出てきますが、きりがないので本題に移ります。あなたはもう私を待つ必要はありません。眠りにつく前に、あなたは待つと言ってくれましたが時は有限です。
きっとあなたはそれでも私を待つと言うのだろう、と甘い想像をしている今の私と、次あなたの前に立つ私は変わっているかもしれません。あなたがどんな人で、共に今までどんな時を過ごしてきたか、それすら記憶にない可能性もあります。身体の時は止まったままなのに、記憶が欠落するなんておかしな話ですが有り得ることです。
私からクユリさんとの関係に終止符を打つことは出来ません。何故ならまだクユリさんのことが好きで離れたくないと思うからです、そしてやはりまだあなたは私を想ってくれると信じていたい。ですがもしもあなたが私の他に想う人が居るのなら遠慮はしないでください。
いつ戻るのか、無事に戻るのか分からない状態で、あまつさえあなたに決断を委ねる真似をしてごめんなさい。それでもまだ私を想って貰えるのなら嬉しく思います。
最後に、ロベリアさんによろしくお伝えください。クユリさんがどんな選択をしても、いつかまたどこかで会えると信じています。その時に、また。
セヴリーヌ