授業中、せっせと板書を写していると。前から、何やら丁寧に折り畳まれたルーズリーフが回って来た。

(およ…手紙…?)

私の前方に座るは、3分ヒーローこと七海哉太。授業中はほとんど寝ている彼にしては、珍しいことだ。ましてや回し手紙など。

(えーと…何々…)

***

『後でノート貸してくれ』

『いいよー。ってか、ずっと起きてたよね?』

『ああ、まあ半分な』

『何それ(笑)』

『ところでよ、ボードの左端はなんて書いてあるんだ?反射してて見えないんだ』

『えーと…“コペルニクス”』

『サンキューな!』
***

そこでいったんリレーは中断。哉太のためにノートの上で紙を丁寧に広げる。中ほどまで埋まったルーズリーフを眺めて、ふと思った。

(……あ、)

***

『ねぇねぇ、』

『なんだ』

『哉太、字きれいだね』

『いきなりどうした』

『私、てっきり、哉太はもっとワイルドな字を書くと思っていたから、意外だなーって』

『そ、そうか…?』

『うん』


――と、そこで再び途切れる。しばらくしてから時計を見ると、止まってから15分くらい経っていた。…え、「意外」とか言った(書いた)から、…も、もしかして怒らせちゃった…とか…?

「……」

ええええどどどどうしよう!!わ、悪気はないんだよ!?決して!――ただ、とてもきれいな、読みやすい字だなぁって。それだけなんだよ…!

(ああああ……って、ルーズリーフ…?)

いつの間にか回ってきていたらしい。ノートの上に、畳まれた紙が置いてあった。それをガラス細工に触れるように恐る恐る開く。

…………、


「……えっ」

思わず紙を握る手に力が入る。そして、自分の頬が熱くなるのがよくわかった。

「ばっか、お前、授業中!」

「…ふふっ。だって、」

「だってじゃねえ!」

先生がボードに向かっている最中に、小声でたしなめられたが、どうにも表情は弛んでしまう。




その後、私は授業中ににやけそうになるのに苦労し、月子ちゃんと錫也からの質問責めにてんてこまいになるのであった。





『ありがとよ、すっげー嬉しい。



お前の字は、かわいい、な!』



















あとがき
相互記念として、まゆ様へ。

授業中に何してるのでしょうか、この二人は(笑)
哉太が起きていた理由は、夢主に手紙を回す機会を窺っていたからです。緊張していたのでしょうね(←)

あ、ちなみに本文中の二重かっこ『』は筆談(?)部分になります。一回一回書くのもくどいよなーということで、このような形にしました。

それでは、まゆ様。
これからもよろしくお願いします!


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