written by 夕依様
空を見上げれば、淡くしかし力強く浮かぶ月。
まるで銀色の光で包み込むような感覚に陥る。
月を守護に持ち、彼女が守るべき大切な女性-ヒト-と同じ輝き。
「ごめんなさい…」
その月を見上げていた、亜美は小さく呟いた。
まるで贖罪も求めるかのように、その声は切なく祈る姿は儚げだった。
彼女の意識はここにあるようで、どこか別のところにあるような感じだった。
「亜美?どうしたんですか?…まだ夜も冷えると言うのに」
「…月を見ていたんです」
亜美の家のお風呂を借りた大気は、亜美の姿がベランダにあるのに気づき、ガラス戸を開け小さく呼びかけた。
振り返って大気に視線を移した亜美は、どこかに消えてしまいそうなほど儚く少し悲しげだった。
そんな亜美をどこかに逃さぬように、大気はそっと亜美を抱きしめた。
亜美の指に自分の指を絡めれば、冷え切ったその指先はかすかに震えていた。
「夢を見たんです。悲しい夢を…」
「どんな夢を?」
「とても悲しい夢を」
亜美は小さく首を横に振り、大気にそれ以上何も言わなかった。
しかし亜美の様子から、彼女がとても自分を責めているような気がしてならなかった。
「手を伸ばせば、手が届くはずだった…」
「亜美…」
「本当になるんでしょうか?…また繰り返すのでしょうか…?」
切なげに呟く亜美に、大気は何もいえなかった。
ただ亜美を失わないように、強く抱きしめるしかなかった。
彼女が何に怯えているのか?どうして自分を責めているのか?
その答えは亜美自身しか知らない。
「…ごめんなさい…」
亜美は一言だけ呟き、大気の胸に顔をうずめ一筋の涙を流した。
大気は亜美の抱えているものが少しでも取り除けるように、静かに優しく背中を撫ぜた。
月の光は二人をただ包み込むように、見守り続けた。
――― 一番守るものがお互いにある
それをわかっていても、惹かれあってしまった
どうか許してください
惹かれあうことが罪なら、すべての罪を背負います ―――
夕依様から相互記念に戴きました。
きゅーん(≧ω≦)
大亜美でリクエストしたところ、こんな素敵な作品を頂きました!
シリアスです。
切ないです。
もうきゅるるんです♪
夕依様本当にありがとうございます☆