Treasure | ナノ


あなたとの未来

written by 優理様

スタッフ 「はい、OKです!」


声が掛かると同時に朝早くから始まった撮影は終了した


この日、大気は単独の仕事で結婚情報誌の撮影で結婚式会場の中にあるチャペルで男性向けのタキシード特集の撮影を行っていたのだ。


それは大気が情報雑誌の特集で女性が結婚したい男性アイドル第1位に選ばれたことから今回の企画に声が掛かったため大気はこの日10着ほどのタキシードを着て撮影をこなす。


撮影が終わり大気はスタッフ達に挨拶をし終えると控え室に戻りソファーに腰を下ろす


大 「こんなに多くのタキシードを着て撮影するのはさすがにきついですね・・・」


大気は「ハァ・・・」っと溜め息をつきながらケータイを見ると亜美からメールが入っていた


大 (亜美から?今日は塾の日だったはず・・・)


大気はそう思いながらもメールを開く


『大気さん、今日はお仕事の日でしたよね?あたし今日は塾の講習が早く終わったので家にいるんですけど
もし大気さんのご迷惑じゃなければ夜に少し会えませんか?お返事待ってます。 亜美』


大気は控えめな文章にフッと笑みをこぼす


大 (私が亜美と会うことが迷惑なわけないじゃないですか、本当に可愛らしい方ですね。あなたは・・・)


亜美のメールだけで疲れもどこかに吹き飛んでしまう。亜美の顔を見ればその効果は2倍になる


大気は返事を打とうとした時、控え室のドアがノックされる


大気はケータイを一時カバンにしまうと返事をした


大 「はい、どうぞ」


部屋に入ってきたのは今日カメラマンを担当した板橋サキだった


サキ 「大気くん今日はお疲れ様!あなたのカッコイイ写真たくさん撮れたわ」


大 「こちらこそ今日はありがとうございました」


サキ 「大気くんのタキシード姿を見たら世の中の女性が大気くんと結婚したいって言うのが分かるわ。
星野くんと夜天くんも同じ票数で第2位だなんてさすがスリーライツね!
でも今回1位の大気くんだけの撮影だったから星野くん達怒ってたんじゃない?」


大 「えぇ、夜天は興味なさそうでしたが星野は出たがってましたよ」


大気は苦笑しながら言う


サキ 「今度はスリーライツ3人のショットが撮りたいわ、その時はよろしくね」


大 「えぇ、こちらこそ」


サキ 「そうそう、大気くんがもし良かったらそのタキシード姿で記念写真撮らない?」


大 「記念写真ですか?」


サキ 「今このチャペルには関係者はあたししかいないし普段のスーツとはまた違った姿でしょ?
だから記念にどうかなって思ったのよ。」


大 (記念写真なんて一人で撮っても仕方がない・・・)


大気はサキの提案に考えているとあることを思いつく


大 「たしか昨日この結婚式場で女性向けのウェディングドレスの撮影があったんですよね?」


サキ 「えぇ、今日と同じチャペルで撮影したわ。それがどうかした?」


サキは大気の問いに不思議そうな顔をして答える


大 (ちょうどあの日も近いですし良いアイデアかもしれませんね)


大気はフッと笑う


大 「実は板橋さんにお願いしたいことがあるのですが・・・」





その頃、亜美は自宅で塾の課題をこなしていた


チラッとケータイを見るが大気からメールの返事は来ない


亜 (まだお仕事終わってないのかしら・・・?でも疲れてるだろうし今日は会えないかもしれないわ・・・)


亜美はそう思うとシュン・・・とした顔で再び問題集に目を向ける


亜 「大気さんが疲れているのを知っててあんなワガママを言ってしまうなんて本当にダメね・・・」


そう呟いた時、亜美のケータイが鳴る。ディスプレイを見ると大気からだった


亜 (大気さんッ!?)


亜美は急いでメールを開く


『メールの返事が遅れてしまってすみません。

今仕事が終わったのでこれから会いましょう。ですが少し寄りたいところがあるので仕事場まで来ていただいてもよろしいですか?場所は東京都港区○○○ホテルの○○階です。ではお待ちしてます』


大気のメールにはそう記されている


亜 「寄りたい所ってどこかしら?でも大気さんに会えるなんてすごく嬉しいわ・・・」


亜美は大気の顔を思い浮かべて嬉しそうに微笑む


亜 「遅いで支度しなきゃね」


そうして亜美は支度をすると大気のメールに書いてあるホテルに向かったのだった・・・



亜美は自宅からそう遠くない有名ホテルの前にいた


亜 「大気さん今日はここで撮影をしていたのね・・・」


高層ホテルを見上げると亜美はホテルの中に入りエレベーターに乗って指定された階で降りる


亜 「確かここよね・・・?」


亜美はエレベーターから降りて大気を捜していると・・・


大 「亜美」


振り向くとそこにはタキシードを着た大気が優しい笑みを浮かべながら立っていた


亜 「大気・・・さん」


亜美は大気のタキシード姿に見惚れて言葉が出ない


亜 (大気さん・・・すごくカッコよくて素敵だわ・・・)


大気は亜美に近づくと声を掛ける


大 「わざわざ来てもらってしまいすみません」


亜 「い、いえ・・・!大丈夫です。あの・・・大気さんはどうしてタキシードの姿に?」


大 「今日は男性向けのブライダル特集の撮影だったんですよ」


亜 「そうだったんですね・・・あの、この後どこに行くんですか?」


亜美がそう聞くと大気はフッと優しく笑う


大 「それは亜美にここに来てもらうための嘘です」


亜 「え・・・?」


亜美は驚いた表情をしているとそこにサキがやって来た


サキ 「この子が大気くんの言っていた子?」


大 「はい」


亜 (この人は誰?)


サキ 「初めまして、あたしカメラマンの板橋サキって言うの。スリーライツや愛野美奈子ちゃんも撮影したことがあるのよ。突然で悪いんだけど今からあなたに花嫁になってもらうわ」


亜美はその言葉に一瞬、頭が真っ白になる


亜 (は・・・花嫁・・・?あたしが・・・?)


亜美は驚いた顔で固まっているとサキはニコッと笑う


サキ 「じゃあさっそくウェディングドレスに着替えるわよ」


サキは亜美の手を引っ張る


亜 「えッ!?あ、あの!?」


サキ 「大気くん、用意が出来たらチャペルに連れて行くわね」


大 「はい、よろしくお願いします」


亜 「た、大気さん!?」


亜美は何が何だか分からないというような顔で大気を見る


大 「大丈夫ですよ、また後ほど」


大気は穏やかな笑みを浮かべて言う


サキ 「あなたはこっちよ」


亜 (どこに行くの!?)


そんな亜美の気持ちも構わずサキは亜美の手を引き部屋へ入る


大 「私も部屋に戻りましょう」


大気も控え室に戻るのだった・・・

1時間後、亜美は部屋にある鏡の中に映る自分を見て立ち尽くしていた


亜 (これが・・・あたしなの・・・?)


鏡の中に映るのは純白のウェディングドレスを着た亜美の姿


シンプルなデザインながらも清楚で胸元にシルクスパンコールがちりばめられた上品なドレスは亜美にピッタリだ


亜 (本当にあたしなの・・・?自分が自分じゃないみたいだわ・・・)


亜美は鏡に映る自分の姿にただ驚くばかりだった


サキ 「やっぱりそのドレスあなたに似合うと思ってたけど大正解ね、メイクも清楚系でよく似合ってるわ」


立ち尽くす亜美の後ろからサキが声を掛ける


亜 「あの・・・どうしてあたしがウェディングドレスを?」


サキ 「今日は大気くんが情報雑誌で結婚したいアイドル1位になったことがきっかけで企画された雑誌撮影だったんだけど撮影が終わった後ね、大気くんにせっかくだから記念撮影でもどう?って声を掛けたらあなたと一緒に撮りたいと言ってたの。

今の時間はこの会場にいる雑誌関係者はあたしだけだしウェディングドレスの着付けも出来るから大気くんからお願いされてあなたにウェディングドレスを着てもらったのよ。」


亜 「そうだったんですか・・・」


亜美はその言葉を聞いてとても嬉しくて心が温かくなる


サキはそんな亜美の顔を見てフッと笑う


サキ 「あなたは大気くんのことが本当に大好きなのね」


亜 「あ、あの・・・///」


亜美は顔を真っ赤にさせながら動揺していると


サキ 「あたしは芸能人のプライベートは絶対に言わない主義よ、だから安心して。そんな心があったらいい写真なんて撮れないもの。
さぁ、大気くんがチャペルで待っているから行きましょ」


亜 「はい、ありがとうございます」


亜美はサキと一緒に大気の待つチャペルに向かった





その頃、大気はチャペルで亜美が来るのを待っていた


大 (もうそろそろ来る頃ですね・・・)


突然思いついたことだがスリーライツが復帰してから何度も撮影をしてくれた信頼できるサキだからこそ頼むことができたのだ


大 (思い切って頼んでみて良かった)


そう思った時、チャペルのドアが開く音がした


大気が振り向くとそこにはウェディングドレスに身を包んだ亜美が立っている



"ドキン・・・ッ!"



大気の胸が大きく高鳴る


亜美は恥ずかしそうに顔を俯かせていた


大気はハッ!と我に返ると亜美の元へ行く


近くで見るウェディングドレス姿の亜美はとても綺麗だった


大 「亜美・・・」


そっと名前を呼ぶ


亜 「・・・変・・・ですよね・・・」


亜美は小さな声で言う


大 「とても綺麗ですよ・・・よく似合っています」


大気は亜美の耳元でそっと囁くと亜美の顔はすぐに真っ赤になる


大 (本当に可愛らしい方ですね。今日の亜美は今までで一番綺麗ですよ)


大気は心の中でそう思いながらクスッと笑った


サキ 「大気くん、彼女どうかしら?」


大 「とても綺麗です、本当にありがとうございます」


サキ 「こんなのお安い御用よ、じゃあ記念撮影しましょうか。チャペルを背にして撮るわね、そこに並んでくれる?」


大 「分かりました。亜美、手を」


大気は優しく笑うとスッと亜美に手を差し出す



"ドキン・・・"



亜 「はい・・・」


亜美は胸の鼓動が速くなるのを感じながら大気の手を握った


サキ 「彼女!ちょっと表情が固いわね」


亜 「す、すみません・・・」


亜美は緊張のあまり表情が固まってしまう


サキ 「ねぇ、あなたが一番幸せな時を思い出してみて。そうしたら自然と笑顔になれるはずよ」



亜 (あたしの幸せ・・・


それはうさぎちゃん達と一緒に過ごせること・・・


そして大気さんの隣りにいれることだわ・・・)


亜美は大気を見ると大気も亜美を見つめ優しく微笑んだ。そして亜美も自然と微笑む


サキ 「最高のショットね・・・」


サキは小さな声で呟くとシャッターを押したのだった




そしてサキが帰った後、大気と亜美はチャペルの中の椅子に座っていた


大 「今日は突然すみませんでした。でも記念撮影をするなら亜美と撮りたいと思ったんです、ちょうど11月22日の夫婦の日も近いですから」


大気はフッと笑う


亜 「いえ、あたしこそ大気さんが疲れているのに会いたいなんてワガママ言ってすみません。
でもこんな素敵なドレスが着れるなんて思わなかったわ。初めて着るから何だか緊張してしまって・・・」


亜美は苦笑いしながら言う


大 「ワガママを言ってくれて嬉しいですよ、私は亜美と会う時が一番幸せなのですから。

今日の亜美はとても素敵ですよ・・・」


大気は亜美の青い髪に優しく触れる


亜 「大気さん・・・」


亜美の胸は高まる


大 「亜美」


大気は亜美の手を取るとバージンロードを歩き講壇の前に立つ。八角形のチャペルのステンドグラスからは温かな夕日の光が幻想的に差し込む


大気は亜美のベールを下ろす


大 「今から2人だけの結婚式をしましょう」


亜 「2人だけの結婚式・・・?」


大 「はい、私と亜美だけの・・・」

亜 (大気さんとあたしだけの・・・結婚式・・・?)


亜美の胸はドキドキと高鳴る一方、大気の言葉の意味がよく分からない


大気はフッと笑うと前を向く。亜美も大気を真似て前を向いた



大 「私、大気光は水野亜美を妻とし、どんな時も生涯変わることなく愛することをここに誓います」


亜美は驚いた表情で大気の方を振り向く


大気はそんな亜美を見つめて優しく微笑む


大 「さぁ、亜美も」


亜 「はい・・・」


亜美は前を向く


亜 「私、水野亜美は大気光を夫とし、生涯変わることなく愛することをここに誓います」


亜美が言い終わると大気は亜美を自分の方に向かせ亜美に顔の前にあるベールをそっと持ち上げる


大 「この言葉を本当に言うのはもう少し先になってしまいますが、一度だけしか言いません。亜美だけに・・・」


大気は優しく微笑みながら言う


亜 (どうしよう・・・嬉しくて言葉が出ないわ)


亜美の目から涙がこぼれ落ちる


大気は長い指で亜美の頬に流れる涙を拭う


大 「本物の結婚指輪をはめるまでもう少し待っていただけますか?」


大気は亜美の左手の薬指にはめてある大気とペアのピンクのジュエリーの指輪に触れる


亜 「はい・・・」



亜美はフワッと笑う


大 「今日ここで誓います・・・



亜美・・・あなたをしています」



亜 「あたしも・・・



大気さんを愛しています・・・」



大気は亜美の頬にそっと触れると顔を近づけてお互いの唇を重ねた


そのキスはとても温かくて優しくて幸せに満ち溢れている・・・





亜 (心から誓えるわ・・・あたしは大気さんだけをこれからもずっと愛し続けると・・・

あなたとの未来はきっと今よりもっと幸せだと分かるの・・・)





大 (あなたを愛し守り続ける・・・近い将来、もう一度あなたにこの言葉を言える日が来ると思うととても幸せです。


亜美、心から愛しています・・・)



温かな夕日の光が二人の重なるシルエットをヴァージンロードに映し出していた・・・






優理様からガチャのお礼にこんな素敵な大亜美のお話をいただきましたっ!
くぁわいいくぁわいい亜美ちゃんと素敵な大気さん(*´ω`*)
もういっそ早く結婚しちゃえっ!て思いながらキュンキュンしながら読ませていただきました(*´Д`)



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