夜天×美奈子 | ナノ




想い
〜MINAKO side〜


最初は
ただのファンだった

そりゃあ
“カッコイイな”とか
“キレイだな”とか
思ってたけど

特別な気持ちは
なかった

でもね
いつの間にか
あたしの中で
夜天君の存在が
大きくなってて

気がついたら
“好き”になってた

無愛想にみえるけど
「メンドクサイ」って
言いながらも
ちゃんと相手を
してくれるとことか

ぶっきらぼうだけど
ホントは
すごく優しいとことか

笑顔がすごく
かっこよくて
カワイイとことか

あたし達と同じ
セーラー戦士だって
分かっても
気持ちは
揺らがなかった



夜天君の全部が
“好き”なんだって

そう――想った






あたしには
そんな資格は
ないはずなのに……

“あの人”の言葉が

あたしへの
呪縛になって
戒めになって

その呪縛から
脱け出せなくて



あたしが
誰かを好きになっちゃ
いけないって
そう思ってた



みんなの前では
気の多いふりをして

でもホントは
恋をする事が怖かった

『愛の女神』なんて
言ってるけど

誰よりも
もしかすると
亜美ちゃんよりも
恋に臆病なのは
あたしだったのかもしれない



“夜天君が好き”
“あたしが誰かを
 好きになっちゃいけない”

相反する気持ちに
どうしていいのか
分からなくて

一人で考えて
ぐちゃぐちゃになってた



そんなあたしに
長年の相棒の
アルテミスが言った

「どうしたいの?

 美奈らしくないよ

 そんな事で
 諦めるのかい?

 ボクはいつでも
 決して“諦めない”
 美奈が好きだよ

 過去の男に言われた事を
 いつまで引きずるんだ?」

そう言われて
言葉に詰まったあたしに
アルテミスは言った



「しっかりしろ!
 “現在―いま―を見ろ!”
 “過去に捕われるな!”
 “未来-まえ-を見るんだ!”

 恋する君は
 誰よりも輝いて
 キレイなんだから」

あたしが
セーラー戦士として
目覚めた時から
ずっと傍で
見守ってくれた
アルテミスに
言われた言葉だったから
背中を押された




そうよ
後悔なんてしたくない



例え生まれた星が違っても

例えもう逢えなくても

呪縛なんて
戒めなんて

打ち砕いてやろうじゃない



それに

それくらいできなきゃ
彼女を護るリーダーを
名乗る資格なんてない





だから

せめて
この想いだけは
伝えたい

ダメでもいいの

この恋が
成就しなくていいから

“後悔”だけはしないように

これ以上
“過去”に囚われてしまわないように

夜天君に
気持ちを伝えて
“未来―まえ―”に進みたい





『あのね夜天君
 どうしても
 伝えたい事があるの』











はい。お読みくださりありがとうございます。

美奈子ちゃんのイメージはアニメが強いので明るく元気な女の子。
でも、誰よりも戦士としての目覚めが早かった分、苦労や苦悩を知ってる。

『過去にとらわれて欲しくない願望』をアルテミスに代弁してもらいました。



次は雄レイか、夜天君サイドをアップしたいです。



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