大気×亜美 | ナノ




SPICE

「……」
お風呂から上がった大気は髪を乾かすと、今日は家には星野も夜天もいないので髪型はそのままにしてリビングに入った。
「おや?」
自分が入浴する前にソファのところにちょこんと座ってテレビを見ていたはずの恋人の姿がなくなっている。
部屋に戻ったのだろうかと思いながらも、テレビがついていることを訝しむ。
彼女ならつけたままにして部屋に戻るなんてまずありえない。
そう考えながらソファに近づくと三人掛けのソファに小さな身体が横たわっているのが視界に入り、大気は少し驚いたように目を瞠った。
足音を立てないように近付くと
「亜美」
そっと名前を呼びかけるが、彼女からの返答はなく返ってくるのは小さな寝息。
どうやらテレビを見ながら待っている間に眠たくなってしまったのだろうと思った。



「大気さんが先に入ってきてください」
亜美に先に入浴するようにすすめると予想通りのと答えが返ってきた。
それならばと大気は亜美が嫌と言えないように「それなら一緒に入りましょうか?心配しなくても今夜は二人きりですし、ね?」と笑って言うと、耳まで真っ赤にして首をぶんぶんと横に振った。
大気としてはそこまで嫌がらなくても…と思いはしたが、人の何倍も恥ずかしがり屋な亜美の性格もよく分かっているので「だったら先に入ってきてください」と言って彼女の首を縦に振らせた。
そんな経緯を経て自分がお風呂に入る時に「ごゆっくり」と湯上がりの亜美に言われて一瞬理性が揺らいだことは秘密だ。

まさか出てきたら彼女がソファでぐっすりと寝ているは思っていなかったのだが…
大気はそっと亜美のくせのある碧い髪にそっと指を絡めた。
安心しきったような亜美の寝顔にどうしようもなく愛しさがこみあげる。
とは言え、ここはリビングなのだからいつ星野や夜天が帰ってきてもおかしくないのだ。
そんなところで無防備極まりなく可愛い寝顔を見せていて面白いはずがない───が…

(今日は二人きりなのでまぁ良しとしましょう)
大気はふっと笑みを浮かべ、素早くテレビを消すと眠っている亜美の身体を優しく抱き上げると、そのまま自室へと入った。
亜美は熟睡しているのか起きる気配はなかった。
そっとベッドに亜美をおろし、一度リビングに行き電気を消すと再び部屋に戻った。
パタンとドアを閉めて必要はないがクセのようなもので、カチャリと鍵をかけた。
大気は足音を忍ばせてベッドに近付くと

───ギシッ

亜美に覆いかぶさるようにベッドに上がると、そっと彼女の額にくちびるを落とす。
くすぐったいのか身をよじる亜美の反応に小さく笑うと、今度はやわらかな頬に口付けた。
「ん…」
小さく声を漏らすが、目は覚まさない。
「亜美」
いつもより甘い声で彼女の名前を紡ぐ。
「起きないならくちびるにキスしますよ?」
寝息を立てるピンクの唇を指でなぞる。
「いいんですか?」

寝息を立てる亜美の返事は当然なく、大気はそのままゆっくりと彼女へと顔を近づけていく。
あと少しでくちびるが触れようとした───その時。
「ん…ぅ」
彼女のまぶたが開き、至近距離で二人の視線が交錯する。
「……え?」
サファイアの瞳がパチパチと二回瞬きをする。
そして、大きく見開かれる。
「〜っ/// た、いきっ、さん///」
「はい?」
「なに、してっ///」
真っ赤になっている亜美の唇を塞ぐ。
「っ///」
「キスしようとしてたに決まってるでしょう?」
「なんっ…で///」
「お風呂あがりにソファで気持ちよさそうに眠っている亜美を見て、私が我慢できると思ったんですか?」
「っ///」
亜美の瞳は潤み今にも透明な滴が零れそうになっている。
「亜美はズルいですね」
「そんな事っ///」
大気は亜美を安心させるために彼女がぎゅっと握りしめていた手にそっと触れて、優しく微笑む。
亜美の手から少し力が抜けたのを見計らって指を絡める。
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ」
「怖がってるわけじゃ、ないんです」
亜美はふるふると小さく首を横にふる。
「ただ、びっくりしただけでっ/// ごめんなさいっ///」
「嫌では、ないですか?」
「え?…っ!そんなっ!嫌だなんてっ…そんな事ありませんっ!」
潤んだ瞳で言われた大気は一瞬息をのむ。
そんな表情で見つめられて、そんな事を言われて我慢なんて出来るはずがない。
「だったら亜美」
「はい」
「お預けなんてつれない事、言いませんよね?」
大気はにっこりと笑顔を見せると亜美の答えを待たずに唇を塞いで、すぐに離して角度を変えてまた口付けてを何度も繰り返す。
「ん…ふぁっ///」
苦しくなってきたのか亜美のくちびるが少し開かれた瞬間を大気は逃さずにするりと舌をすべりこませて、彼女のそれをからめとる。
「っ/// んっ!ふぅっ/// ーーっ///」
大気はくちびるを離すと、亜美の瞳から零れた透明な雫をそっとぬぐう。

「辛い、ですか?亜美」
「ちが…っ///」
キスで乱れた呼吸の中で必死に否定の言葉を紡ぐ亜美に愛しさがこみあげた大気は優しく微笑む。
自分しか見ることの出来ない大気の笑顔にトクトクと亜美の鼓動がより一層早くなる。
「亜美?」
「っ///」
「どうかしましたか?」
「いえっ///」
亜美の返事に大気は優しく微笑むと
「じゃあ、続けてもいいですよね?」
彼女の耳元で優しく甘くそう囁いて、もう一度そっとくちびるを塞いだ。







お読みくださりありがとうございます。
本当にお久しぶりの更新です。

Twitterでフォロワー様と深夜に語り合ってできたお話です(*´ω`*)
なんとか書くことが出来て良かったです。

この後はみなさんの妄想力にお任せいたします(^−^)
では、また。



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