「っ、やぁ...っ」
「ダメですよ」
「ーっ、ふぁっ」
「ほら、ね?」
「ホントにっ…やぁ...っ」
「嘘はいけませんね?身体はそうは言ってませんよ」
「っ、ん」
「くすくす」
「あっ」
「ここですか?」
「んんっ」
「気持ちいいですか?亜美」
「はっ…ぁ」
「……」
「……」
「……」
「……」
リビングに続く扉の前で、息を詰める四人。
「夜天開けてくれ」
「イヤ」
「愛野頼む」
「いっやぁ〜/// さすがにちょっと…ねぇ?」
「星野が開けてよ」
「いやだ」
「えぇっ…」
「おだんご…開けてみるか?」
「絶対イヤ!」
「ーっ、ん」
「うわっ、すごいですね…亜美」
「っ、だっ...てっ」
「「っ///」」
「マジでどうする…?」
「……はぁっ…」
夜天がひとつ溜め息をつくと、リビングに続くドアノブに手をかける。
――ガチャ
「「や、夜天君///」」
「お、おい!」
――キィッ
三人の制止を無視して、ゆっくりと扉を開く。
「ん?あぁ、夜天お帰りなさい」
「………ただいま…、なに、してるの?」
「っ、夜天、君っ?」
「なにって」
「んっ…大気さん、そこっ…」
「亜美を――」
「いったぁ…いっ」
「マッサージ中ですよ」
「「「はぁっ!?」」」
聞こえてきた答えに星野、うさぎ、美奈子が部屋に飛び込む。
「肩と頸、背中から腰にかけてすごく張っていたので」
「ひゃぁっ…んっ」
「「「「……マッサージ?」」」」
「はい、おしまい。どうですか?亜美」
「はぁっ…んっ、すごい身体がポカポカになりました。
ありがとうございます、大気さん」
「いえ」
ソファに寝転んでいた体勢を起こし、座り直した亜美は肩を回し大気にふわりと笑顔を見せる。
そんなほんわかしたやりとりを唖然と見ていた四人だったが、星野がわなわなと拳を震わせる。
「お前らなぁ……まぎらわしいんだよっ!!」
「?」
突然、叫んだ星野に何を言ってるんですか?と視線を投げる大気の隣で亜美は「紅茶でも淹れようかしら?」と、ポツリと呟く。
「「亜美ちゃん…」」
「コーヒーの方がいい?」
「いや、そゆことじゃなくて」
「柊先生から、美味しい紅茶を戴いたの♪」
「そうなの?」
「えぇ」
うさぎと美奈子も手伝い、六人分の紅茶を淹れて、リビングに戻る。
「と、言うか、どうしてすぐに中に入ってこなかったんですか?」
「入れるかぁっ!?」
「うん。あれは無理」
大気の冷静な質問に星野と夜天が答え、うさぎと美奈子が彼らの横でこくこくと頷いている。
「どうして?」
「一体、なんだと思ってたんですか?」
「あー、いやぁ…ねぇ?」
美奈子が何やら気まずそうに視線を反らす。
うさぎが亜美を見つめて口を開く。
「ねぇ、亜美ちゃん、肩凝ってるの?」
「んー…ハープを始めてから時々」
「大気さんにほぐしてもらってるの?」
「うん///」
「その度に、水野はあんな状態なのか?」
「そうですよ」
「ねぇ、大気」
「なんですか?」
「理性飛びそうになったりしねーの?」
「……ふっ」
((((その笑みはなに?))))
「ノーコメントで」
((((あるんだ))))
「え?え?」
亜美ひとりがよくわかってないようで、オロオロしている。
「あのね、亜美ちゃん」
「うん?」
「さっきの大気さんと亜美ちゃんの会話なんだけど」
「えぇ」
「そこだけ聞いてるとね……っ///」
説明しようと試みた美奈子だったが、亜美の純粋すぎるまっすぐな視線に妙に恥ずかしくなってきた。
「会話だけだとヤってる最中みたいに聞こえたんだよ」
夜天が仕方ないとばかりに、美奈子の言葉を引き継ぐ。
「……えっ?」
「おまけに亜美ちゃんの声が喘ぎ声っぽくて、すっごいエロかったのよ!」
「えぇっ///」
言い切る美奈子に亜美は驚き、赤くなる。
「だから、その/// てっきり/// ごめんね?」
「〜っ//////」
謝るうさぎの言葉に亜美は耳まで真っ赤になって俯いてしまう。
大気はそんな亜美を見てくすりと笑うと、彼女の碧い髪をよしよしと撫でる。
「〜っ///」
大気が亜美の耳元にくちびるを寄せ何かを囁く。
「っ//////」
小さすぎて亜美以外には聞こえなかった。
しかし、亜美が真っ赤になって、泣きそうになりながら大気を可愛く睨んだのを見て、なんとなく何を言ったのかわかったような気がした。
『亜美の喘ぎ声は、私しか知りませんから、ね?』
お読みいただきありがとうございます。
突発的に降ってきたベタなネタです。
亜美ちゃんの声よりも、大気さんのセリフの方が誤解を招いた気がしなくもないですが…
書いてて結構楽しかったです。
クリスマスほとんど書けてないのに、浮かんだら書きたくなりましたo(`・ω´・+o)
クリスマス小説がんばります!