大気×亜美 | ナノ




その目に映して

「お帰りなさい」
お仕事から帰ってきた大気さんをお出迎えに玄関へ。

「ただいま、亜美」
大気さんは優しく笑ってくれる。

「お仕事お疲れ様でした」
そう言うとくすりと笑って、抱きしめられる。

――ドキッ

大気さんのぬくもりと匂いに心臓の音がうるさくなる。

「亜美も、お疲れ様でした」
額にちゅっとキスをされて、それだけであたしは真っ赤になる。
大気さんがあたしの反応に、楽しそうにくすくすと笑う。

うぅっ…今日こそ恥ずかしがらないでいようと思ったのに…
ちょっと悔しい…なんて思いながら大気さんをそっと見上げると、すごく優しい目をしていて、あたしはもっとドキドキしてしまう。

「亜美、可愛い」
優しい声が聞こえたのと同時に、大気さんの長くて綺麗な指があたしの顎にそえられる。
簡単に上を向かされた瞬間――くちびるを優しく塞がれる。
「んっ///」
すぐに離れたけれど…。
「〜っ///」
大気さんとのキスはドキドキして、胸がきゅうってなって、やっぱり恥ずかしい。



『いいですか?亜美。
「おはよう」と「おやすみなさい」
それから「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」の時はキスをする事───約束ですよ?』
結婚する時にそんな“約束”をしてしまったので…

嫌なわけじゃないの。
ただ、やっぱり恥ずかしくて…
いつも赤くなるあたしを大気さんはすごく楽しそうに見つめて、くすくす笑う。

「そろそろ慣れないと、身が持ちませんよ?」
「うーっ///」
「今はこれくらいにしておいてあげます」
そう言って、あたしの髪を優しくそっと撫でる。

リビングに向かって歩く大気さんの少し後ろを歩きながら、脱いだ上着を預かる。
しゅるりと音が聞こえて大気さんがネクタイを外して、シャツのボタンを外す。
それから、前髪をくしゃりとして少し崩す。

あたしは、大気さんのその仕種がすごく――好き。

“アイドルの大気さん”から“あたしの旦那さま”に戻る瞬間。

あたしだけが知ってる大気さん
あたしだけの――大気さん

恥ずかしいから、大気さんにも教えない
あたしだけの“小さな幸せ”




「大気さん」
ラフな服装に着替えてソファで新聞に目を通していると、亜美に呼ばれる。
「はい?」
「お風呂とお夕飯どっちにしますか?」
可愛く首を傾げて聞いてくる。
「そこに亜美は含まれないんですか?」
くすくすと笑って亜美をからかう。

いつもなら、真っ赤になるのだが今日はいつもと違った。
「含んだら――あたしを選んでくれますか?」
亜美のサファイアの瞳が少し潤んで、私を見つめる。
「っ!?///」
亜美のその言葉と表情に一瞬で悩殺されそうになって、思わず赤くなってしまう。

そんな私を見た亜美はにこっと笑うと
「仕返し、です」
可愛くそう言って、キッチンの方に戻ろうとした――瞬間――彼女を後ろから抱きしめる。

「っ/// た、大気さん///」
きっと、亜美は真っ赤になっているだろう。
「含まれるんだったら、当然亜美を選ぶに決まってるでしょう?」
亜美からの可愛い誘惑に私が勝てるはずがない。

「だ、だめです///」
「亜美から誘ったんですよ?」
「ちがっ///」
「亜美をください」
「いやっ///」
「…騙しましたね?」
少し拗ねてみる。
「大気さん人聞き悪い///ちょっと言ってみただけです///」
真っ赤になってこちらを見上げる亜美のくちびるに軽くくちづけると、亜美はますます真っ赤になって押し黙る。

「じゃあ、こうしましょう?」
「え?」
「夕飯を済ませた後で亜美を戴いてからお風呂にします」
「はい?」
ぱちくりと、瞳を丸くする亜美ににっこりと笑顔を向ける。
「さぁ、そうと決まればお腹も空きましたし、夕飯にしましょう?」
「ちょっ、ちょっと待ってください///」
くいと服の袖を引かれて、思わずそのまま抱きたい衝動に駆られる。
「なんですか?」
「さっきのはなんですか?」
「いいアイディアでしょう?」
「どこがですか!」
「夕食後の亜美からのお風呂という完璧なフルコースです」
「あたしをコースメニューに組み込まないでくださいっ!///」
「今さら何を言ってるんですか?私にとってのメインは亜美なんですよ?
亜美がいないと、無意味です」
「ーっ///」
亜美が真っ赤になる。

「ね?亜美」
そう言って“にっこり”と笑うと、亜美が涙目で見つめてくる。
「えっ...と……、本気…なんですよね?///」
「はい、もちろん」
「うーっ///」
「亜美が言い出したんでしょう?」
「うぅっ/// ちょっと仕返ししたかっただけなのにっ///」
そんなところが可愛くてつい意地悪をしたくなってしまう。

「大気さん///」
「どうしました?」
「お風呂、一緒に入る…ので」
「うん?」
「戴くのは勘弁して欲しいです///」
「亜美」
「ダメ?」
「ーっ///」
すがるように上目遣いで見つめられる。
参りました。
「分かりました」
私の言葉に亜美が嬉しそうにふわりと微笑む。
――可愛すぎる。

「亜美」
「はい?」
「反則です」
「え?」
まったく……行動が無自覚すぎるのも困ったものだ。

「なんでもありません」
「???」
不思議そうにしている亜美の瞳を見つめてくすりと笑う。
「今夜のメニューはなんですか?」
「今日はまこちゃん直伝のお料理なんですよ。って言ってもまこちゃんみたいにおいしく出来ないですけど…」
しょんぼりする亜美の髪をくしゃりと撫でる。
「何を言ってるんですか?私にとっては亜美が作ってくれたって事が大事なんです。
それに、私は何よりも亜美の手料理が好きですよ」
「っ/// ありがとうございます///」
恥ずかしそうに笑顔を見せる彼女に微笑みかける。
「何かお手伝いできることはありますか?」
「いえ、大気さんは座ってて下さい」
パタパタとキッチンへと戻っていく亜美を見て、幸せを噛み締めながら準備を手伝うためにあとをついていく。







お読みくださってありがとうございます。

夫婦ネタのはずだけど、いい夫婦のネタじゃない!?

ってゆーか、大気さん……へんt(ry

同じようなネタばっかりでごめんなさい!

亜美ちゃんに仕返しさせたかったんですが、結局は大気さんのペースになってしまう不思議…(えっ)

では、また。



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