大気×亜美 | ナノ




愛のしぐさ

二人で暮らし始めたばかりの新居のベッドルーム。

「ストップ!ちょっと待ってください!」
「ヤ・ダ」

人の制止を“にこっ”ととびきり可愛らしい笑顔でバッサリと切り捨てたのは、私が愛して止まない亜美に他ならない。

「大気さん」
亜美に跨がられた状態で、いつもより艶っぽい声で名前を呼ばれ、理性がぐらつく。

「っ…亜美」
ゆっくりと、亜美の顔が近付いてくる。

「――――すき」
甘く囁かれ、くちづけられる。
「っ!」

ふわりと香るのは、亜美の甘い匂いと――普段ならありえないこの状況を作り出した原因と言える――アルコールのにおい。



事の発端は雄一郎さんが私の二十歳の誕生日のお祝いにとくれたワインだった。
『二十歳と言えばやっぱりコレです!亜美さんと二人でどうぞ』



ワインをあけグラスにそそぎ、亜美にもすすめると『あたしはまだ19です』と、やんわりと断られた。
一人で呑んでもつまらないので、強行手段に出た。

『亜美』
『はい?――んっ!』
とりあえず口移しで飲ませてみた。

『はっ…ぁ///』
こくんと亜美が飲み込んだのを感じ唇を離した。
『おいしいでしょう?』
『〜っ/// なん、で///』
『一人で呑んでも楽しくないじゃないですか?』
『だからって///』

『一杯だけでいいので付き合ってください』
『…わかりました。でもあたしお酒ってのんだことないんですけど…あんまり
『ブドウジュースだと思えば大丈夫ですよ』



大丈夫じゃなかった。
私の考えが甘かった。
まさかワイングラス一杯で亜美が酔うとは思ってなかった。



『亜美?』
『ん〜』
気分が悪いとかではなさそうだったが、そのままにしておけなかったので、抱き上げてベッドルームに運ぶことにした。
『大丈夫ですか?』
『うん…』
コクと頷くがあまり大丈夫そうじゃなかった。

冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してから、亜美をひょいと抱き上げた。
『大気さん』
甘えるようにきゅっと抱きつかれドキリとした。
普段の亜美なら抱き上げただけで真っ赤になって恥ずかしがるのに、その反応を見られなくて残念なような…
でも、これはこれでかなりオイシイ展開だとも思った。

ベッドルームに運んで、ポスっとベッドに下ろす。――が。
『…………もしもし?』
『ん?』
『離してください?』
『イヤ』
亜美は、可愛く一言で返すとさらにギュッと抱きつく力を強めた。
『……そんな事言っていいんですか?亜美』
『いいの』
いや、良くないから。

『お水、飲んで下さい』
はいと、一緒に持ってきたミネラルウォーターのペットボトルを開けて渡した。
『いらない』
ぶんぶんと頭を振って拒否。
『亜美?』
『なぁに?』
『お水』
『いーや』
『……っ』
あぁ、ダメだ。可愛すぎていっそ襲ってしまいたい。

『いい子ですから飲んで下さい』
『いらにゃい』
『っ』
いっそ猫耳でもつけてやろうか…とか思うあたり私も少し酔ってる…と、思った。

『じゃあ、私が全部飲んでもいいんですか?』
『ダメ』
一体どうしろと…あ、なるほど。
『じゃあ――』
水を口に含んで、亜美のくちびるを塞いだ。
『んくっ』
さっきワインを飲ませたのと同じ要領で水を飲ませた。

『飲んでくれますか?』
くちびるを離して聞くと、亜美はこくんと頷くと今度は素直にペットボトルの水をこくこくと飲んだ。
さて、どうしたものか…。
まさか初めて一緒にアルコールを口にしてこんな事態になるとは予測してなかった。
ワイン一杯くらいと思ったのがいけなかったんだろうか?

『…………』
『ん?亜美?』
三分の一ほど飲んだペットボトルを持って(ちゃんとキャップを閉めているあたりがさすが亜美)じっとこっちを見つめている。
『亜美?』
『…大気...さん』
『はい?』

『えいっ』
『っ!?』
トンッと軽い衝撃があって、背中に布地の柔らかな感触と、下腹部によく知った軽くて心地良い重み。
『は?』
唖然としていると、クスクスと笑う亜美の声。
『亜美?』
『大気さん』
『はい?』
『仕返し…してもい?』
『え?仕返し?』
わけがわからず聞き返すと、それはもう楽しそうに『うんっ』と、答えられた。

そして、まぁ、はじめに戻るわけです。





「っ…はっ…」
クチュと音を立てて私の口腔内を亜美の舌がちろりとなぞる。
「んぅっ…」
そのつたないながらも、必死の行動に愛しさがこみあげ、彼女の舌を絡めとる。

――いつもよりあつい

亜美の匂い、くちづけ、熱。彼女のすべてが私の理性を削いでいく。
しかも、いつもなら“亜美から”なんて絶対にない。
この状況で興奮するなという方が到底無理な話だ。
あぁ、ハイ。素直に白状します。
体のほうの反応はずいぶん素直でした。

亜美は、私のお腹のあたりに跨っているし、体勢的には四つん這いの状態なので気付いてない。
こうなった責任はとってもらわないと、ねぇ亜美?

「はぁっ」
くちびるを離し、熱っぽい吐息をつく亜美。
彼女の華奢な腰に手をやり、少し力を加えて下半身に亜美の体を持っていく。
「んっ…」
白状したとおり、そこは当然しっかり反応を示していた。

「大気さん...」
「はい」
「えっち」
「誰のせいだと思ってるんですか?」
「んー?……大気さん?」
「違います」
「えーっ」
なぜか残念そうな反応をされた。
なんかもういちいち反応が新鮮で可愛すぎて困る。

「亜美のせいでしょう?」
「ちがうよ?」
「違いません」
「なんで?」
首をかしげて、そんなこと言われたら…
「ーっ」
もう無理です。限界です。理性なんて残ってるわけないでしょう!

「亜美」
「あい?」
「責任――取って下さい」
「えー?無理だよ?」
「――どうしてですか?」
「んー…ねむいもん」
もう、亜美のひとことひとことの破壊力が凄まじすぎる。
「おやすみなさい」
ん?ちょっと待った!
コテンと私の上に亜美が体を預ける。

そして――
「亜美?」
「くぅっ…」
気持ちよさそうにすぅすぅと寝息を立てて眠り始めた。

「うそ…でしょう?」
これって、もしかしなくてもおあずけですか!?
冗談ですよね?
「亜美?」
そっと声をかける。
「ん…」
甘えるように私の服をきゅっとつかむ。
――あぁ、可愛い。って違う!
そうじゃなくて、これは……きっつい…

いやいやちょっと待った。
ここまで人を煽っておいて、その気にさせておいておあずけとか…。
なんというタイミングで“小悪魔”を発揮してくれるんですか…

私はこの行き場のない熱をどうすればいいんですか?



「大気さん…すき…」
甘えるような寝言に、自然と顔がほころぶ。
「私も大好きですよ、亜美」
幸せそうな寝顔と、彼女の体温と鼓動に私の意識もゆっくりとまどろみ始める。

『明日、起きたら覚悟しておいてくださいね――亜美』







こ、ここまでお読み下さりありがとうございます。
いや、ほら。最近ちょっとパロの方をがんばってたら、大気さんに「亜美」って呼んで欲しくなったんです。
イチャイチャさせたかったんだい!

亜美ちゃんてなんかお酒弱そう。
そして、普段とのギャップの凄まじさに萌え苦しめばいい!(大気さんが)

あ、ちなみに結婚する前です。一緒に暮らしはじめて少ししかたってない頃だと思います。
この二人っていつ結婚するんですかね?(え)

前のBDといい、今回といい、大気さんおあずけくらいまくってますね。
まぁ、私のせいですが(爆)

気が向いたら裏ver書くかもです。

では、お付き合いありがとうございました。



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