大気×亜美 | ナノ




戻れない明日

「お帰りなさい」
すっかり馴染んだ自宅に帰り、リビングのドアを開けると、食欲をそそるいい匂いと愛しい妻の笑顔がある。
「ただいま、亜美」
亜美をしっかりと抱き締める。

「お仕事お疲れ様でした」
亜美の腕が背中にまわり、きゅっと抱き締め返されて、どうしようもなく幸せを感じる。
「ありがとうございます」
碧い瞳をまっすぐに見つめると、ふわりと笑顔を見せてくれる。
「亜美」
「んっ///」
そっと触れるだけのくちづけを交わす。



「ごはんにしますか?お風呂にします?それとも……」
やわらかな声に違和感を覚える。
いつもなら食事かお風呂の二択なのに、今日は何かが違う。

「それとも?」
亜美を見つめると真っ赤になっている。
「〜っ/// あ・た・し?///」
「!?」
「っ///」
一瞬、思考回路がショートした。
いや、ショート寸前ではなくショートした。

こんなオイシイ展開をみすみす逃すわけがない。
「イタダキマス」
「っ!?」
そのまま抱き上げソファの方に移動すると、そこに亜美を押し倒し容赦なく深くくちづける。
「大気さ...んっ///」
「亜美から誘ってくれるなんて滅多にある事じゃないでしょう?」
「や、待っ...て」
「待てません」
ブラウスのボタンをプチプチとみっつほど外したところで――

『ストーップ!!』
賑やかな声が聞こえたような気がしたけれど、目の前の状況とどちらをとるか一瞬考えようとして、やめた。
今の私に亜美より優先すべきことなどあるはずはない。

「ちょっ…ホントにダメっ///」
『だからストップだって!!』
再び聞こえる複数の静止の声。
「…………どうしてみなさんがうちにいるんですか?」
さすがにその声を無視するわけにもいかず、私は盛大なため息をつくと体を起こしてリビングの入口を見る。
心なしかみんなの顔が紅い。

「みんなで誕生日を祝おうと思って来たんだよ」
「せっかくだし、驚かせようと思って二階に隠れさせてもらってたんだけど…///」
と、言うのは星野夫婦。
「まさかこんな展開になるとは思ってなかったんだよね…」
「はい、びっくりです」
こちらは浅沼夫婦。
「俺もびっくりです…いろんな意味で」
「そもそも美奈子ちゃんがあんな事言うからじゃない」
熊田夫婦の言葉を聞いて、また愛野さんが何かしたのかと思う。
「いやぁ、まさか亜美ちゃんがやってくれるなんて思ってなかったのよねぇ」
「あんなにまくしてておきながらよく言うよ…」
亜美に何か言ったんだろうと思って、いつもと違っていたところに思い至って納得する。

「愛野さんの差し金ですか…」
「大気さんたら人聞き悪〜い」
「入れ知恵の方が正しい表現でしたね」
「美奈はどこまでいっても美奈だからね」
「やれやれ…」
亜美を抱き起こす。
「はぅ///」
「だいじょぶ?亜美ちゃん」
「大丈夫っ///」
ブラウスのボタンをきちんと止める。

「ほら、俺と夜天でいいシャンパン買ってきたんだぜ」
「料理は水野さんの手作りです」
「ケーキは俺とまこで作りました」

「ほら、亜美ちゃん料理盛り付けよう?手伝うよ」
「う、うん。ありがとうまこちゃん」
「あたし取り皿出すわね。勝手に開けていい?」
「えぇ、お願いレイちゃん」
「「あたし達は?」」
「グラスとかお願いしてもいい?」
「「はーい」」
テキパキと指示を出す亜美。

「美奈子ちゃん」
「なに?」
「びっくりしたね」
「あぁ…うん、あたしもまさかあんな展開になるとは思わなかったのよね」
「美奈子ちゃん…」
「ま、まぁ…いいもの見れたじゃない?」
小声で話している月野さんと愛野さんに近づき声をかける。
「見世物じゃないんですがね?」
「「ひゃあっ!?」」
「まぁ、でも…」
「「でも?」」
「可愛い亜美を見られたのでよしとします」





『Happy Birthday TAIKI』





「あとでおいしくいただきますね?」
「っ!?」
「まだ亜美をいただいてませんから、ね?」
「〜っ///」







お読みいただきありがとうございます!
なんとか間に合いました!

おめでとう大気さん!
みんなが帰って二人きりになったあとに、ゆっくり亜美ちゃんをいただいてください!
まさかの新婚ネタになって私自身もびっくりです!
またやります!



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