大気×亜美 | ナノ




SWEET KISS

「た、大気さん///」
「はい。どうしました?亜美」
意を決したように私の名前を呼ぶ亜美。

「あ、あの///」
「はい」
「えっ…と///」
「亜美?」
「〜っ/// やっぱりいいですっ/// ごめんなさい///」

先程から何度目かのやりとり。
言いたい事があるのに、なかなか言い出せないのだろう。





学校で愛野さんと月野さんと木野さんが亜美に何かを耳打ちした。
すると亜美は真っ赤になり、手をパタパタと振っていた。

――可愛かった



亜美が席を外したタイミングを見計らったかのように、愛野さんと月野さんが私のところにきた。

それぞれ手にお菓子の箱を持っていた。

『はぁい♪大気さんは●ッキーと○リッツどっちがお・好・き?』

何日か前から流れているCMで今日――11月11日が“ポッ●ー&プ○ッツの日”である事は知っている。

『どちらも特に好きでも嫌いでもありませんがそれが何か?』
『どっちか選んでくれなきゃ困るの!』

『はぁ…それではポ●キーで…』
『はいっ!どーぞ☆』
月野さんが満面の笑みでポッキーを…おっと…ポッキ●の箱を私に差し出してくれたのでとりあえず礼を言って受け取っておいた。

『大気さんたらぁ…エッチなんだから』
『は?』
愛野さんが謎の言葉を残してそそくさと去っていった。



『『がんばれ大気』』
様子を黙って見ていた星野と夜天に応援された。

『何を…ですか?』
何をがんばればいいのか聞いてみた。

『美奈が“今日は恋人同士はポッキーゲームをする日”って言ってたよ?』
『え?そうなのか?おだんごは“ポッキーとプリッツ食べ放題”って言ってたぜ?』
どっちも意味が分からない。

『ポッキーゲームってどうするんですか?』
気になった“ポッキーゲーム”について聞いてみる。



『なんでも――』
星野と二人で夜天の説明を聞いた。
『――するんだって』





11月11日に恋人同士はポッキーゲームをする事が本当かどうかはさておき、それをネタに可愛い亜美を見られるのだから。

さて、このままいくと亜美が部屋から脱走しそうなので、こちらから仕掛ける事にしようか…



「亜美」
「はい」
「少しおなかすきませんか?」
「え?……んーと?」
「お菓子をいただいたんですが一緒に食べませんか?」
「あ、はい」

私は鞄から月野さんと愛野さんにもらったお菓子の箱を取り出す。

「っ!」
それを見た亜美が驚いたように目を丸くする。

「あの…それってどうしたんです…か?」
「愛野さんにいただきました」
「そう…ですか///」
亜美が赤くなった理由を知りながら、あえて知らないふりをする。

ピリピリと箱を開け、袋を開けて亜美に差し出す。
「どうぞ?」
「…………いただきます」

一本を取り出しポリポリと食べ始める亜美。

「おいしいですか?」
聞くと亜美はこくんと頷く。

「亜美」
「?」
ポリポリとポッキーを食べながら私を見つめる亜美が可愛くて私の悪戯心の火がついた。

こくんと飲み込んだ亜美に、ポッキーを一本差し出す。

「あーんしてください?」
「えっ?///」
「ほら…ね?」
「〜っ/// あ、あーん///」
亜美の口にポッキーを入れる。

ポリポリ――こくん

もう一本差し出すと、ぱくんと亜美が食べにくる。

――か、可愛い



ポッキーをくわえた亜美の顎をクイとあげ、反対側からパクッとかじる。

「っ!///」
真っ赤になった亜美が身を引いたため、ポッキーは真ん中でパキッと折れる。

「あ…」
「−っ/// 大気さん/// なん…で///」
「今日は恋人同士はこうしてポッキーゲームをするんでしょう?」
「えぇっ!?」
亜美が真っ赤なまますごく驚くのを見て、違うようだとわかる。

「愛野さんがそう言っていましたよ?」
「大気さんそれ違います。ゲームはしません///」
「そう、ですか?それは残念です」
「〜っ///」

赤くなる亜美は本当に可愛い。

「亜美?せっかくなんでしませんか?ポッキーゲーム」
耳元で低くそう囁くと、首を横にふる。

「どうして?」
「そんなの…恥ずかしい…です///」

亜美は本当に恥ずかしがり屋だ。
当然そんなところも愛しくてたまらない。

「いいじゃないですか。私達の二人きりなんですから、ね?」
「そ、そう言う問題じゃないです///」

「亜美」
耳に触れるか触れないかの至近距離で彼女の名前を呼ぶ。
「〜っ///」
「せっかくなんですから……ね?」
「わ、わかりましたから///」

「それは良かったです」
「うーっ///」
「はい、どうぞ?」

一本差し出すと、恥ずかしそうにしながらパクッとくわえる。
それを見た私は、くすりと笑い反対側からポッキーをくわえ、亜美の方に向かってゆっくりと食べ始める。

亜美はそのまま固まっている。



――ポリ…

あと一口で亜美がくわえたところにたどり着く。

「ーっ///」

目の前にある亜美の瞳は潤んでいてとても綺麗で…。

――チュッ



その瞳に吸い込まれるようにすすみ、彼女とくちびるが重なる。

「甘いですね」
「〜っ///」
すぐに唇を離してそう言うと、亜美は真っ赤になってうつむく。






「亜美」
「はい///」
「交替です」
「え?///」
「今度は亜美からです」
「む、無理です///」
「じゃあもう一度、私からしてもいいですか?」
「ダメですっ///」
「じゃあ亜美からしてください。してくれないなら私からします」
「〜っ///」
「どうしますか?亜美」
「わ、わかりました///」
「いい子です」

向かい合わせに座らせ、亜美を私の上にのせる。
亜美は恥ずかしそうにしながらも、大人しく私の上にのっている。



ポッキーをくわえた私の反対から亜美が一口目をかじる。
「〜っ///」

――ポリ

真っ赤になった亜美が可愛くて見つめていると。不意に視界が暗くなり、瞼にやわらかな感触が触れ、亜美の手に視界を遮られたのだと気付く。

――ポリ

ポッキーが折れた感覚もなく、ポリポリという音が聞こえるのでそのまま大人しくしておく。

――チュッ

唇に触れる柔らかい感触。

すぐに離れようとする亜美の華奢な腰に腕を回し力を込める。

「んっ///」

そのまま柔らかな亜美のくちびるを堪能する。



「ごちそうさまです」
「〜っ/// もぉっ///」
真っ赤になって拗ねたように照れる亜美はやっぱり可愛い。



「またしましょうね?」
「え?」
「ポッキーゲーム」
「しません///」



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