大気×亜美 | ナノ




彼女の秘密?

朝の教室
時刻は8時12分

「僕ずっと気になってたんだけどさ」
「何を?」
「水野ってピアスホール左右ひとつずつだよね?」

星野と夜天は、亜美の方をチラリと眺める。
亜美は、自分達の彼女が忘れてきた宿題を教えている真っ最中だった。
耳元をみると、青いピアスがひとつ。

「だな。それがどうしたんだ?」
星野が聞くと夜天は小声になる。
「たしかマーキュリーって、ピアス片方にみっつじゃなかった?」
「…えーっと……ん〜?」

記憶を辿る星野。

「おぉっ!そうだったな!たしかに三つだった!」
「水野はひとつずつ、でもマーキュリーはみっつずつって事は…
ピアスホールだけあとふたつあるって事になるんじゃないの!?」
「あー、そうなのか?っつーか、そんな風に言われたら俺も気になっちまうだろ!?」
「優等生の水野がピアスを左右みっつずつなんてしたら、教師連中卒倒するだろうね…」
「あーっ!気になる!実際どーなんだ?」
「知らないよ」

「おーい水野!」
星野は席から立ち上がり、亜美を呼ぶ。
「星野!?」
「気になった事は本人に確かめんのがいいんだよ。ちょっとこっち来てくれ」

呼ばれた亜美は素直に星野たちの方にやってきた。
「なぁに?星野くん」
自分が呼ばれたことが不思議で仕方ないと言わんばかりに、亜美は首をかしげる。

そんな亜美に、星野は「ちょっとごめん」と言うと、自分の左手の親指と人差し指で亜美の右の耳たぶを“ふにっ”とつまんだ。

「っ!?」
驚いた亜美は、その場に固まる。
そんな亜美に気づかず星野はピアスの付近を確かめるように“ふにふに”と指を動かす。

「んー?ひとつだけっぱいなぁ…?一応反対も…」
「っ!〜っ!」
亜美は突然の事にわけもわからず、声も出せないが、涙目になってきている。

それに気付いた夜天が慌てる。
「ちょっと星野、僕が悪かったよ!もういいから!水野にそれ以上何かしたら!?」



――ガラッ

「っ!?」
入ってきた人物が視界に入った夜天は息を飲む。
それに気づかない星野は亜美の耳たぶを“ふにふに”している。
「どっちもひとつずつか…?うーん?」
「星野星野星野!ねぇせーや!」
「さっきからうるさいぞ夜天。一体なん…っ!?」
星野はようやく、先ほど教室に入ってきた人物――
こちらを見つめ“にっこり”と微笑んでいる大気に気付いた。

「亜美に何をしているんですか?星野」

「えーっと…いや、そのピアスが耳の穴で」
「……ほう?」
「いや、違うんだよ!みっつとひとつがどーなってるのか…と」

なんとなく星野の言いたいことを、大気は察しつつも“笑顔”は崩さずに聞く。

「亜美にさわる必要がありますか?星野」
「いやっ!その…えーっと……ごめんなさいっ!」
星野が『参りました』とばかりに深々と、大気に頭を下げる。
「僕もごめん…余計なこと言ったから。水野もごめん。平気?」
夜天も素直に謝り、固まったままの亜美を気遣う。
「水野いきなりごめんな。びっくりさせちまったよな」
星野も亜美にも謝る。

「……っ、うんっ。だいじょう…ぶ」
亜美は、そう言いながら、二人に笑顔を見せる。
その頬はピンクに染まり、少し涙目だ。

「「っ!」」

それを見ていた大気はさらに“笑み”を深くすると――
「亜美…ちょっとおいで」
「大気…さん?」
亜美の手をひき教室から出ていった。



固唾を飲んで見守っていたうさぎと美奈子が宿題を放棄してやって
来た。
「もう星野ったら!何亜美ちゃん苛めてんの?」
「ちげーよ!水野の時と、マーキュリーの時にピアスの数が違うのが気になるって夜天が言うから…」
「マーキュリーの時だけよ?」
サラリと美奈子が結論を言う。
「あ、そうなんだ」
夜天があっさりと納得する。
「そんなにあっさり納得すんのかよ!」

「ねぇ、星野」
「ん?なんだおだんご?」
「あたしからすれば、亜美ちゃんのピアスの数より、星野たちの性別変わる方が不思議なんだけど?」
「「!?」」
「いや、ちゃんとなんでかとか分かってるけど、確かに不思議は不思議よね?」
美奈子もうさぎに同意する。
「あ〜、それに関してはなぁ…」
「どっちも僕らだからねぇ」
「「分かってるよ?」」
「おうっ」
「ありがと」



「なんだかいい雰囲気のところ申し訳ないんだけどさ…」
そこにまことが口を挟んできた。

「ねぇ、二人ともさっき亜美ちゃんの涙目にちょっとドキッとしただろ?」
「「木野!?」」
「したよね?」
まことが確信したように、少し意地悪そうに言う。
「まぁ…な」
「ちょっと…は」
「「えぇーっ!」」
星野と夜天の答えに不満そうにうさぎと美奈子が声をあげる。
「わりぃ」「ごめん」
素直に謝る二人。

「まぁ…でもしょーがないよね?美奈子ちゃん」
「そーよね。亜美ちゃんのあれにドキッとしない人はいないもの」
「うんうん」
まこともうなずく。
「あれっ?ところで亜美ちゃんは?」
「「大気が連れてったよ」」



教室を出た大気は、亜美の手をひき屋上へと向かう。
鉄扉を開き外へ出た大気は亜美の手を離す。
「あ、あの大気さん?えっ…と」
「……」

亜美へと振り向いた大気は、黙って彼女に手を伸ばす。

亜美の頬にかかる碧い髪を、そっと指先ではらうとそのまま彼女の耳にふれた。

「〜っ!やめ…て」
亜美は逃げるように数歩後ろに下がるが、すぐに鉄扉にぶつかり、逃げ場を失う。

「どうしてですか?」
分かっていて大気は聞く。

そのまま指先で、亜美の耳を“ツーッ”となぞる。
「っ!やぁ…っ」
亜美は涙目になりふるふると首をふって、大気の手から逃れようとする。

「まったくあなたは…」
「〜っ…」
大気は亜美の耳元で低くささやく。

「本当に可愛い人だ」
そう言うと大気は、亜美の耳を――そっと甘噛みする。
「〜っ///」
亜美はふるりと震える。

大気は、そのままゆっくりと亜美の耳に舌を這わせる。
「ん…やぁっ///」
亜美の高く甘い声が、大気の鼓膜をふるわせ、脳を刺激する。

(可愛い…)

彼女の甘い声に、理性を削がれていくのがわかる。

「っ…たい…きさ…っ!やめっ……おねっ…が…いっ」

耳を攻められながら、懇願する彼女が愛しくてたまらない。

もう一度、下からゆっくりと、舌を這わせると彼女の耳から口をはなす。

「んっ!」
亜美は、舐められ方の耳を押さえ、くたりとその場にへたりこみそうになった
「おっと…」
ところを、大気に片腕で支えられる。

亜美は、大気に支えられながら、目に涙をためて大気を睨む。
「そんな可愛い顔で睨まれても、怖くないですよ?」
大気はクスクスと笑い、亜美に触れるだけのくちづけをする。

「んっ///」
「むしろ逆効果ですよ?亜美」
「〜っ!もぉっ/// 大気さんのバカぁっ!」
そう言うと、亜美はポカポカと大気の胸を叩く。
全然痛くない亜美のその行動が、たまらなく可愛くて大気は笑う。

「ヒドイ…です」
亜美はむくれて大気に言う。
「どうしてですか?」
「…弱いって知ってて…」
「弱いって知ってるからするんですよ」
「えぇっ!?」
大気にサラリと言われ亜美は驚く。



「亜美」
「はい?」
「これで終わりじゃないですよ?」
「え?」
「もう片方も…です」
大気は“にっこり”と――笑う。

亜美はいやいやと首を横にふる。
しかし、彼女がいるところは大気の腕の中である。
逃げられるわけがないのだ。

「ほら、亜美?」
「も、もぉやだぁ…っ///」





その頃の教室では、担任が出欠確認をとっていた。

「あれ?大気君と水野さんは遅刻…じゃないわよねぇ?
カバンあるしどこに行ったか月野さん達は知らないの?」
「水野なら、大気にさらわれました」
星野が言うと担任はしばらく考え込む素振りを見せた。

「まぁ、あの二人なら心配ないでしょ。じゃあ連絡事項を伝えるわね。まず――」

優等生であるがゆえに教師からの信頼もあつい二人の捜索は行われず、
結局、大気と亜美の二人が教室に戻って来たのは、一時間目が終わってからだった。

――屋上で二人が何をしていたのかは本人達しか知らない






読んでくださってありがとうございます。

ってゆーか、なんだこれ…
大気さんが…黒大気様が……降臨させろってゆーから…さぁ。

ことの発端は『亜美ちゃんて耳弱そう。
ってか、弱かったら可愛いよな』って思ったから。

そしたら大気さんがねぇ…
どんどん黒くエロになっていく。

そんな大気さんも大好きさ!



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