Fruits Basket | ナノ

▼診断メーカーのお題 2

「みゃあ」
聴こえた鳴き声に顔をあげた彼女が塀の上にいる三毛猫を見つけ無邪気な笑顔をみせる。
「こんにちは」と透き通る声色で三毛猫へと声をかける。
「みゃ〜っ」
彼女の挨拶に応えるかのように三毛猫は鳴き声を返す。
そっと小さく一歩、彼女が三毛猫のいる塀の方へと足を踏み出す。
三毛猫は逃げずにじっと彼女を見つめている。
再び一歩。動かない三毛猫。
また一歩。尻尾を振って彼女を見つめる三毛猫。
それを三回繰り返して彼女は三毛猫のいる塀まであと一歩のところまでたどり着いた。
こちらからは彼女の表情は見えないが、三毛猫と視線が合っていることはわかった。

そっ、と彼女が右手をゆっくりとあげる。
じっ、とそれを見つめる三毛猫。

三毛猫に触れるまであと少しのところて――チリリン――自転車のベルが響き三毛猫は驚いたのかぴょんと向こう側へと飛び降りて見えなくなってしまった。
「あ…」と残念そうな声を漏らして、伸ばした指先は空気を掠めてゆっくりとおろされる。
いなくなった三毛猫から自分へと意識を向けたくて、しゅんと落ち込んだ彼女の名前を呼ぶとゆっくりと振り向く。
「逃げられちゃいました」
いつもより少し子どもっぽく拗ねたように言う彼女に、今ここで抱きしめたい衝動が沸き起こる。
そんな事をすると彼女は真っ赤になって泣きそうになることは目に見えているので今はしないでおく。
「あと少しなのに残念でしたね」
そう言いながら彼女の隣に並ぶと、なだめるように柔らかい髪をそっとなでる。
「っ///」
驚いたように真っ赤になって小さくうつむく彼女にふっと微笑み、なんとなく視線を塀にやると見覚えのある黒いシルエットが見えたので
「おや?お散歩ですか?」
と、声をかけると「にゃお」と返事があった。
その声にうつむいていた彼女がパッと顔をあげる。
「ルナ」
無邪気に塀の上を散歩していた“友人”の名を呼ぶと、黒猫は軽いしぐさで彼女の肩にトンと舞い降りる。
「こんにちは、ルナ」
本当に嬉しそうな彼女の笑顔に私もつられて笑顔になる。
「せっかくですし、私の部屋に行きますか?」
そう言うと彼女もルナも嬉しそうに頷く。

私といながらルナと楽しそうにする君のそんなところも好きでたまらないなんて、知らないでしょう?

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Category:セーラームーン

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