▼Voice in the Paradise 腕の中で寝息を立てる亜美を見つめる。 そっと頬を撫でると「ん…」と小さな吐息と身じろぎ。 起こしてしまったかと思ったけれど伏せられた長い睫毛が白い肌に影を落としたままだった。 「亜美」 小さく名を紡ぐ。 たった二文字を口にする事がたまらなく嬉しい事を君は知らないでしょう? 「ん…たいき、さん?」 透明な声が鼓膜を震わせる。 「すみません、起こしてしまいましたか?」 「ううん」 いつもより少しあどけない寝起きの声。 「あの…あたしどれくらい眠ってました?」 「一時間くらいですよ」 「あぅ…ごめんなさい…」 亜美が布団に顔をうずめて小さく謝る。 「謝らないでください」 そう言って柔らかい髪を撫でると布団からそっと顔を覗かせる。 「でもっ」 「亜美に欲情して体に負担をかけるような事をしたのは私なんですから、亜美が謝る事ではありません」 「っ///そ、そういうことは、言っちゃダメです///」 真っ赤になって再び顔をうずめる。 「亜美」 「…」 「体つらくありませんか?」 「平気、です」 消え入りそうな声が聞こえて思わず笑みがこぼれた。 「亜美、顔見せてください」 「いやです」 「見せてくれないならもう一度してまた気絶させますよ?いいんですか?」 そう言うとおそらく反射的にだろうが、パッと顔を見せてくれる。 「ーっ///」 サファイアの瞳が泣きそうに潤み頬は上気して桃色に色付いていて──ドキリと鼓動が跳ねる。 「大気さんずるいです///」 「その言葉そっくりそのままお返ししますよ」 「えぇっ…んっ///」 唇を塞ぎ舌を滑り込ませると、亜美の体が強張る。 「怖いですか?」 低く囁く。 「ちがっ…びっくりしてっ///」 至近距離で聞こえる涙声に愛しさがこみ上げる。 「大丈夫ですよ。亜美を怖がらせるような事はしませんから、ね?」 「うん」 と答えて甘えるようにぎゅっと抱きついてくる。 まったくどこまで無自覚なのか…。 「亜美…もう一回、いいですか?」 「えっ///」 「手加減しますから、ダメですか?」 「ほんと?」 「約束します」 そう言うと亜美が頬擦りしてくる。 「優しくして?」 「もちろんです」 亜美の柔らかな頬にキスをして、快楽の波へと溺れる。 泣き出しそうな嬌声に誘われるように、かき集めて残っていた理性を手放した。 |