▼“にゃん” 「亜美ちゃん負けーっ!罰ゲーム!これから一時間語尾に“にゃん”をつけて喋ること!」 頭脳ゲームなら負けないのにと思いながら亜美は押し黙る。 ここで迂闊に言葉を発したらあげあしをとられることは目にみえている。 「亜美ちゃん?お返事は?」 「わかったわ…」 「にゃんは?」 「〜っ…」 「大気さんにこの前のプールの時の写真を見せちゃってもい・い・の?」 「ダメっ!…にゃん…」 「っ!も、もう一回!」 美奈子の要望に首を振って答える。 「何をしてるんですか?」 「美奈またくだらない事してんの?」 「違うのよ!亜美ちゃんが亜美にゃんなのよ!」 「何言ってるの?」 「愛野さん。亜美を巻き込むのはやめてくださいといつも言っているでしょう」 「ひどっ!…亜美ちゃんからもなんとか言ってよ〜」 「……」 「写メ見せるわよ?」 「…やめて」 「やめて?」 「…にゃん…」 「「……」」 「ふふーん、どう?」 「美奈…何したの?」 「夜天君人聞き悪い…あたしは勝負に勝っただけよ」 「やれやれ…大気?どうしたの?」 「亜美、おいで」 「?」 近づいてきた亜美を抱き上げると爽やかな笑顔で二人に「では」と挨拶をしてそそくさと去って行った。 「美奈…」 「いやぁ、さすが大気さんよねぇ…」 引きつって笑う。 「た、た、大気さん!?」 「にゃん、は?」 「え?」 大気が楽しげにくすくすと笑う。 「た、大気にゃん…」 「ーッ」 首を傾げて、潤んだ瞳で、それは反則でしかなくて。 (愛野さん…さすがですね) 「あとで猫耳つけてもいいですか?」 「だめっ、にゃん」 |