Fruits Basket | ナノ

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「もしもしお嬢さんこんな時間からどこへ行こうと言うのかね?」
夜も十時を回っているというのに、お嬢様は何やらどこかへ行こうと玄関でゴソゴソしている。
「……コンビニ」
イタズラが見つかった子どものようにバツが悪そうに、答える。
「何買うの?」
「牛乳」
「はい?明日じゃダメなの?」
「今が、いいの」
こうなった彼女は譲らない。
「……ちょっと待ってて。俺も行くから」
「別に一人でいいわ。すぐ近くなんだし」
「ダメに決まっとろうがっ!」
どうして、こうも無防備なんですかね…ったく…。

コンビニまでの道のりを歩きながら、隣の冴子に疑問をぶつけようと思い口を開く。
「ねぇ冴子さん?」
「なに?」
「お前さん朝から牛乳飲んだっけ?」
「飲まないわよ」
「はい?」
「飲まない」
「じゃあなんで牛乳がいるんですか?」
「……が飲みたいの」
さっきまでとは違う小さな声で呟いたので、聞き取れなかった。
「ん?」

「ココアが飲みたいの!」
「ここ、あ?」
「そう。ココアの粉はあるんだけど牛乳切らしちゃってて…」
「あれって別にお湯でもいけるでしょーが?」
「ちっがうでしょ!牛乳をお鍋で温めて作るから、よりおいしいんじゃない!」
「あ、そーですか…」
確かにそうだなと思ったので反論はしない。

しかし、ココアって。
「なによ?」
少し照れたような冴子をちらりと横目で見ると、睨まれた。
「べぇ〜っつにぃ?」
「っ!なんなのよ!」
──可愛いじゃないですか。



コンビニで無事に牛乳を購入して帰路につく。
往復十分程度の時間。
片手には1リットルの牛乳パック。
もう片手は冴子と手を繋いで歩く。

「なんでココア?」
「飲みたくなったの」
「それって水沢の分も作ってもらえますか?」
「諒ちゃんがどうしてもって言うんなら作ってあげなくもないわよ?」
「どうしても!って事で一杯よろしく!」
さっきの冴子の“牛乳で作った方がおいしい”の話のせいで、ココアモードになってしまった。
「お湯でいいんだっけ?」
「えぇっ!ひどいっ!そんな事を言うならば…ここでこの牛乳を一気のみしてやりましょーかねぇ…」
「ちょっと!そんなに飲んだらお腹壊すわよ!」
つっこむところはそこですか?
「ジョーダンです。そんな事しません。冴子さんが作ってくれるココアが楽しみです」
ニッと笑ってそう言うと、ほんのり赤くなった冴子が「何言ってるのよ!馬鹿ね!」と、言うなり、さっさと鍵を開けて部屋に逃げ込んだ。
牛乳は俺が持ってるんですがねぇ?



え?ココアですか?
もちろん牛乳100%で作っていただきました。
おいしかったです。ハイ。

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Category:オーラバ

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