2010 | ナノ








期末考査最終日、最後のテストは国語。前々から担任に個人授業を受けていたわけで、解けないということはなかった。だって記号問題ばっかで簡単だし!

とか言いながら、1問1点の100問テストってこのダメ教師は喧嘩売ってるんだろうか!


あ、ダメだダメだ!ちゃんと問題解かないと、えっと……



(1がケ、2が…………10がイ、かな)



記号問題は自信がある。うん、これならいける。ペンが進む。なーんだ100問って楽勝じゃん!そうやってスラスラ解いて行って残り時間が10分を切った頃、私はまだ問題に取りかかっていた。




“次の問に2文字以内で答えよ”


【す】から始まって【き】で終わるものを書け





(……2文字、すとき……すき。好き?)





いやいや何言っちゃってんのこの白髪天パ。まったくテストに関係ないよこれ!
……でもこんな問題で点数落とすのも勿体ないし、書かなかったら書かなかったで先生のことだからなんかされそう。……いや気のせいだよ。そうだよ!





「あと5分だぞー。見直ししとけよ」





先生の声が静かな教室に響く。すぐに紙が擦れる音があちこちから聞こえてきて、私は焦る。





(ええっ、もう書いちゃえ!す、き……)





最後の問題を見る。





“問1の答えを答えよ”




問1って何処!?慌てて用紙を表に返して答えを見る。




【ケ ツ コ ン シ テ ク ダ サ イ】




(ケツコン?結婚?おちょくってんのあいつ!待って、これ、答えの答えってプロポーズの返事を求めてるわけ?)





頭が痛い。こんなメッセージをテストに残すなんて。他の皆はどう書いたんだろ?一緒なはずなのに。


頭がパニックになった私は教卓の横の椅子に座る担任を見た。目が合った。笑った。



途端に鳴るチャイム。最後の問題は解けなか……いや書けなかった。





苗字は終わったら準備室でー。はい解散。





(ねぇ、神楽?最後の問題おかしくなかった?)

(そんなことないアル。銀ちゃんらしい記号問題だったヨ)

(えっ、最後から二問目は?)

(?主人公の武器ネ。あれは鋤(スキ)だヨ)

(……やられた)




title by:)Aコース様



101203