2010 | ナノ








「ちょっ……銀ちゃ…!」

「やっと、お前を抱ける…っ」





は、と言う間すら与えてもらえず、玄関で銀ちゃんに抱かれてしまった私。身体が痛い。



「もーっなんなのいきなり。暫く姿も見せないし、連絡もしないわで」

「あー…ちょっとドライバーやってたんだよ」

「は?」

「いやこっちの話」



未だに玄関の廊下で押し倒されたまま。汗で床と背中がベタベタして気持ち悪い。銀ちゃんを押し退けて背を向ける。ふと目についた銀ちゃんの着流しを肩に羽織った。


「んまぁ、悪いな」

「……はぁ。仕方ないなぁ」



だってご無沙汰、だったわけだし。銀ちゃんに抱かれるのは嫌いじゃないし。場所さえ弁えてくれれば何も言わないんだけど。とかはやっぱり胸の内にしまって、着流しに染み付いた銀ちゃんの匂いを久しぶりに嗅いだ。



「今度からちゃんと連絡してね?……色々と」

「わーってるって。……な、名前」


耳元で銀ちゃんは囁いて私を後ろから抱きしめた。


「……なに?」

「銀さんさ、まだ足りねぇの」

「……ん」



銀ちゃんの声は時々私を麻痺させる。ああ、また銀ちゃんの思い通り。



「あ、また胸でかくなってる」

「ぎ……ちゃ…!」

「名前はほんとここが弱いよな」



背を押されると私は床に顔を突っ伏し、銀ちゃんが背中に覆い被さってきた。そしてさっきより質量の増した銀ちゃんが私の中に入ってくる。苦しいけど、私はすんなり銀ちゃんを受け入れてしまっている。



「あっ、んあぁ!」



深く深く奥を突かれて背が大きく仰け反った。……いくのが早いかも。銀ちゃんが離れたあと、すぐに背中に熱い何かが掛かった。着流し越しなのに、とても熱くて、私は身体中に倦怠感を覚えながらも隣に倒れ込んだ銀ちゃんにすり寄った。久しぶりの行為は心も身体も満たされた。……だからもう怒るのはやめよう。





でも次は柔らかいベッドの上でお願いします。



(あー…ベタベタになっちゃった)

(一緒に風呂でも入るか)

(ていうか銀ちゃん、いくの早かったよね)

(……ち、ちがっ、これは久しぶりだから、ちょ、名前ちゃん?そんな目で見ないでぇぇ!)






100914