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その幸せを見届けようか

「ねえ上司」
「なんだ」
「ああいうのを熟年夫婦っていうわけ?」
「見た目はともかく…話の内容からするに、そういっても差支えないだろうな」
「ふーん」
「どうした?」
「生前の頃はああいうの、羨ましいなあってと思ってたけど……死神になってからは、そう思わなくなったなーって」
「……ヴェルディス」
「なんだろうね、幸せって。幸せな人ほど、最期は悲しいよ」
「それは、多分違うぞ」
「そう?」
「ああ。ヴェルディスは最期の後を見ていないからそう言えるんだ」
「見たことあるよ」
「こういう人のを、か?違うはずだぞ。ヴェルディスが見ていたのは殆ど戦時中だろう」
「そうだけど。それでも、やっぱり違うと思うよ」
「なら、気付かれないようにここの最期の後を見ればいい」
「……本気?」
「ああ。見たことがないなら、一度は幸せな最期を、最期の後を見るべきだ」
「その間の仕事は?」
「ここの最期の後を見届ける事が、ヴェルディスにとっての仕事だ」
「そう、わかった。なら見てくるよ」
「珍しく積極的だな。最近はあまり仕事をやりたがってはいないように見えたが」
「気のせいでしょ。ほら、じゃあ次のとこ行くよ」
「……そうか、なら気のせいにしておこう」
「ふーんだ」

 * * *

死期が近い方々の家の場所を把握するべく、リストに載っている人の所を巡回中。
そして出会いのきっかけ。

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執筆:2014/06/18

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