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シンデレラ

ある日あるところに、義理の姉や継母達にいじめぬかれたせいか男みたいな感じになっちゃった残念なシンデレラがいました。


「いじめぬかれたって言葉が何か嫌だな。あ、俺シンデレラらしいぞー」
「まぁ良いじゃないですか。僕は継母みたいです」 
「シンデレラ、やりたかったなぁ…。あ、ラズリはお姉ちゃんだって」
「…………煌羅、お姉さん」
 

シンデレラが広間で掃除をしていたら、継母と姉がやってきて早速シンデレラいじめを開始しました。

 
「いじめって…今更何すんだよ、ったくよー。…あー、何だっけ。か、母…様?」
「わぁ、マリスやる気満々だね!じゃあラズリも頑張るよ!!」
「 や め ろ 」

「シンデレラ…血を、頂戴?」
「いじめでそう言うって、どんだけ飲む気だよ」
「………煌羅、頑張るよ?」
「頑張らなくていい!」
 
シンデレラが姉達に絡まれているその時。
 

ドゴォッ!!!
 

「おやおや。シンデレラ、壁に穴が開いていましたよ」


なんと、継母の背後の壁に大きな穴が開いてしまっていました。

 
「おい継母役!それいじめってレベルじゃねーぞ。つーか屋敷潰す気か」
「いえ、王子よりかはマシかと思いまして」
「王子より?おい、それってまさか…」
 

継母のいじめによりシンデレラの顔色が真っ青になっているその時、小さな姉は一人広間から離れて燃えていました。

 
「いじめ、いじめ…うーん、何すれば良いのかな?」
 
悩みながらも小さな姉は、魔法を使って廊下を水びだしにしながらぽてぽてと歩いていました。
 
「よくわかんないからこれしかできないし…あ、そっか、ラズリ魔女になればいいんだっ!」
 

水をまいて廊下だけでなく心の中もさっぱりした姉は魔女になる決心をしました。

 
「まてまてまてまて!この水浸しな廊下をどうしろと!?」
「あぁ、仕事が増えましたね。仕方ありません、壁はまた明日で廊下は今日中にどうにかしておいてくださいね?」
 
継母は傘を片手に、笑顔でシンデレラに命令を下しました。
 

「早く、頼むから早く夜になってくれ…っ!」
 

それから暫くの間、廊下を見れば泣きつつ掃除をするシンデレラの姿が見ることができました。

 
 
そして夜。
本来ならシンデレラがやるはずでしたが、食べられる程度の物しか作れないシンデレラにかわって夕食を作った継母。
シンデレラが掃除を終わらせて帰ってくる頃には作った夕食も食べ終わり、姉達ももうパーティーに行く準備も整っていました。
 
「シンデレラ、ご飯が食べ終わったからといって寝たりしないで下さいね?」
「…が、頑張る。あぁ夕飯さんきゅーなぁ…」
「寝たら話がかわりますよ?キスされますよ、キ・ス」
「嫌だっ!」
 
「…では、僕達は行きますね」
「い、いってらっしゃいませお母様っ!!」
 

継母の囁きにより一気に目が覚めたシンデレラ。
そんなシンデレラを見て一安心した継母は、馬車に乗り込みお城へとむかっていきました。
 
 
「とりあえずメシ〜…」
 
 
継母を見送るなり夕食にありつくシンデレラ。
そして食べおわったと同時に魔女が窓をブチ破ってシンデレラのもとへとやってきました。
 
「…おい」
「開けられなかったの」
「窓叩けばよかっただろうが…」
 
仕事が増え、頭を抱えるシンデレラ。
しかし魔女はそんなシンデレラなんておかまいなしに強制的に魔法をかけてしまいました。
 
「なぁ」
「12時には魔法とけちゃうからね、えっと…あ、あと、ちゃんと靴落としてきてね!」
「あぁ、わかったわかった…だけどな、うん、俺タキシード希望してたはずなんだけど」
「じゃあ馬車は外にあるから、ばいばいっ!」
 
魔女はシンデレラの言葉を無視して、ブチ破った窓から帰っていきました。
 
 
「いや、普通のスカートなら平気なんだけどな。ドレスは…流石に動きにくすぎだろ、ガラスの靴も痛いし」
 
しかしここでこうしていても仕方ないという事でシンデレラは覚悟を決めて馬車に乗り、お城へとむかっていきました。
 
 

「おや、間に合いましたか。……ラズリも煌羅も、ドレスが似合ってますね」
「ありがとう!ふぅ、急いで着替えてきたから、間に合ってよかった♪」
「……有難う」


「あ、ねぇねぇ〜っ」
  
継母と姉(魔女)がパーティー会場でまったりしていると、王子様がやってきて声をかけられました。
どうやらシンデレラはまだ到着してはいない様子です。
 
「わぁ…ミサキ、格好良い!」
「格好いい、ね…」
「ふふ、本当ですね。タキシード、とても似合ってますよ」
「あはっ、やっぱりぃー?」
 

「おや…王子、どうやらシンデレラがやっと到着したみたいですよ」
 
継母と姉達と王子でのほほんとおしゃべりをしていると、扉がバンっと思い切り開き、会場がシーンと静かになりました。
 
 
「ま、間に合ったか…?」
「やぁ美しいお姫様この私と踊らないか」

「やっぱりお前が王子か…つーか棒読みになる位なら普通に話せって」
「あー、うん…てゆーかシンデレラ来るの遅すぎぃ。もう時間なんだから早く帰んなきゃだよぉ?…もー、よぉし、こうなったら、風穴開けるよぉ〜♪」
「話の流れがわからねえ、ってかここでまで風穴やんのはやめろぉぉぉぉっ!!!」
 
シンデレラが時計に目をやれば、針はもうすぐ12時に到達してしまいそうでした。
それを見たシンデレラはあわててもと来た道を引き返しました。
そして王子様はそんなシンデレラを、愛用のレイピアを手にして追い掛けていきました。
 
 
「だあーウゼぇ!!ついて来んなっ!」
「えっ、あっ…わっ、と!もうっ、危ないじゃんっ!!」
  
何とも器用な事に、慣れないドレスにガラスの靴だというのに普通に走るシンデレラ。
王子様も負けずに追い掛けてましたが、いつまでたっても諦めない王子様に痺れを切らしたシンデレラがガラスの靴を片方脱ぎ、王子様に向かってブン投げました。
 
 
「はっ…はっ……うわっ!?」

「もうこうなったらぁー……風穴開けて城に飾っといてあげるよぉーっ♪」
 
 
片足ガラスの靴がなくなったため、走っている途中にバランスを崩し転んでしまったシンデレラ。
勿論そんなシンデレラに追い付くのは容易い事で、王子様はすぐにシンデレラを追い詰めてしまいました。
 
 
「ちょっ、まっ…なぁ、これ話が違…ギャァァァァァァァァァッ!!!!!」
「ふっふーん♪約束通り、ちゃぁんと飾ってあげるからねぇー…」
 
 
王子様の手により、シンデレラは永遠のお姫さまとなってしまいました。
  

 
それから暫らく、とある噂が広がりました。
その噂は、満月の夜になると王子様の部屋から叫び声が聞こえる、という物でした。
 
それが本当なのか、本当だとしてそれがシンデレラの叫び声なのかは王子様のみぞ知る事…
 
 
めでたしめでたし。
「めでたしじゃねぇ!!!」 


 * * *

台本型と言ってもこれなら名前無くても問題ない気がしたので、ちょっと修正して再公開。
"ミサキが王子でシンデレラがマリス、最後は王子が後を追いかけてぶっすり"というネタを頂いてできた話です。

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執筆:2007/?/?
修正:2013/02/07

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