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水上奇襲戦
「こ、のっ!」
「っ」
突き飛ばされて、船の上から海へ落ちる。
重い鎧のせいでどんどん沈んでいく。
でも私は人じゃないから、このまま沈んでも死にはしない。
水の中をたゆたう、というような幻想的な状況ではない。
深く深く…沈んでいけばいくほど暗く重くなっていく。
―――CB72、ネーム・ミサキ。動きなさい、早く敵船を沈めてしまいなさい。
光が遠くなってきたなと思っていたら右耳についたピアスのよう物から声が聞こえた。
ああそうだ、私は兵器。
戦わなくては。
聞こえてきた声に対して心の中ではいと答え、鎧を気にする事もなく水の中を飛ぶ。
泳ぐよりも、飛ぶ方が得意だ。
そう考えながら急速に水面付近まで浮上して、敵船の真下へと潜りこむ。
そして、船に手を当てて―――魔法を発動した。
敵の船の大半を沈め、戦いが終わった。
私は水面に浮かぶ自軍の一般兵に紛れて救助を待つ。
自国に帰還して施設に帰ったら、メンテナンスと同時に怒られるんだろうなと考えながら救助の船に乗り込んだ。
* * *
造られたばかりの時、数える程度しか戦いに参加してないくらいの頃。
"水の中"と"沈む"の二つのワードで軽く書いてみました。
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執筆:2012/08/09