Original - n
A dream of the regret
ふとした時に昔の夢を見るなんてよくある事。
今日もまた昔の夢を見た。
でもそれももう慣れたし、一々騒ぎ立てる事じゃないのもわかってる。
大体見てしまったものは仕方ないし、何が悪いとか気にしてもどうせ夢なんだから意味ないじゃんとも思う。
だって今更後悔しても仕方ないから。
…と、普段はそうやって終わらせるけど、今回はそうはならなかった。
それは今日が夢に関係する日だからか。
「…似合わないな」
赤い髪に髪飾りをつけ、綺麗なピンク色のドレスを着ている自分が鏡にうつった。
自分らしくない服装は、今もまだ夢の中なんじゃないかと思ってしまうくらいだ。
そんな自分の姿に苦笑しつつ、机の上に置いてある写真立てに目をやった。
「…母さん」
写真を見て、思い出される夢。
母さんからの最後のプレゼント。
手作りの、髪飾りとドレス。
母さんは着た自分を見たがってたけど、男らしい自分が着るのは似合わないからと言って着なかった。
それから少しして、母さんは手の届かないところに行ってしまった。
「母さん、ごめん…ごめんなさい…」
今日は母さんの命日。
そして後悔の日。
あれからどんなに後悔してもしたりない。
でも、後悔しても、もう母さんは戻ってこない。
ドレスを着てみても、髪飾りをつけてみても、それを見てくれる母さんはもうどこにもいない。
「…っ……母さん、どうかな?」
涙を拭って、窓を開き空を見上げた。
何だか空から見てくれるような気がしたから。
今更、着てみたけど。
母さん見てる?俺の事。
俺の言った通り似合わなかっただろ。
…でも、このドレスと髪飾り、大好きだよ。
母さんの想いの籠もった大切な俺の宝物だしさ。
「………今度、これで墓参り行くからさ、待っててよ」
俺がそう言ったら、何だか母さんが笑ってくれたような気がした。
有難う―――
心の中に転がっていた黒い固まりが、少しずつ溶かされていく。
これが溶け切った時は、絶対にお墓参りに行こう。
そして色々な事を母さんに話してあげよう。
これからは、後悔の夢だけじゃなく、昔の楽しかった思い出の夢も見ていけるよな?
*
後悔の夢。
可愛らしい物は嫌がって着なかったマリス。
武器についてるリボンはせめてもの女の子らしさ、との事で無理矢理母がつけたものだったりします。
以下その後。
ミ「マリスまた私のお菓子っ、うわぁぁぁぁぁ部屋間違えましたごめんなさいぃぎゃぁぁぁぁぁぁお化け出たぁぁぁぁぁぁ!!!!(怒鳴りながらドアを開け、マリスを見た瞬間に叫びながら逃げ去り)」
マ「誰がお化けだこの馬鹿がっ!」
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2009/12/08:執筆