Original - n
Eternal air hole daughter
それは全てが終わった後の事――
「あは、あははぁっ…私、遊びすぎちゃったかもぉ…」
苦笑しつつ、木に寄り掛かったまま滑り落ちるかのように座りこんだ。
そしてそれと同時に聞こえるは、自分の体の軋む音。
「色んな事、あったなぁ…」
思い出す、今までの事を。
遊んだ、からかった、喧嘩した、泣いた、戦った…思い出していたらきりがない。
「最初は…造られたの、嫌だったけどぉ…」
虚ろ、意識が遠くなっていく。
頭の中では思い出が浮かんでは沈みを繰り返して懐かしい気分に浸っていた。
「楽し、かったし…良かった、かなぁ…」
視界がぼやけていく、瞼が閉じていく。
終わりが近づいてくると同時に、体も動かなくなってきた。
もう、軋む音すら聞こえてこない。
(皆と…)
「ま…た、皆と、遊び…た……」
造られた人形が、今、終わりの時を迎えた。
「ほらほら、物を振り回してちゃ危ないですよ」
キッチンにて、茶髪の親子が夕飯を作っていた。
「ふっふーん♪見ててよねぇっ、今からこの魚に風穴あけてやるんだからぁっ!!」
魚に包丁を突き付け、明らかに間違った事をしそうな娘を母は手でやんわりと制した。
そしてふと時計に目をやればもうこんな時間かと苦笑してしまった。
「はいはい…あぁ、ほら、早くしないとお父さんが帰ってきちゃいますよ?」
「え、嘘ぉっ!?急がなきゃだぁーっ!!」
「ただいまー」
そんな母の言葉に焦る娘の事なんか知る事もなく、父は帰宅した。
「ちょっ…は、入ってきたら風穴開けるからねぇっ!?」
「何で!?」
焦る父、困る娘、それを笑いながら見てる母。
「ぷっ……あっははぁー、嘘だよぉーっ♪」
三人の楽しげな笑い声が、聞こえた。
*
全てを終えた後の事。
題は永遠の風穴娘。
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200?/?/?:執筆