気ままに呟くよー | ナノ
365...?

吊り橋効果疑惑。



「リヒト」
「なに」
「吊り橋効果ってあるだろ」
「うん」
「ああいうのってどう思う?」
「…………つまり私が、そういう類の現象に陥ってるのではないか、と」
「なくは、ないだろ」
「どうなんだろね。そういうのも影響してそうだよね」
「……」
「別にそれでも良いんじゃない?」
「お前が良くても俺が気にする。……そういう効果があって俺を好いているってんなら、俺はここを出ていく」
「できないくせに」
「できる。…リヒト、俺は真面目に考えてんだ」
「ーーばっかみたい」
「なんだと?」
「自分勝手で自己中でわがままで俺様で横暴で自己中で自己中なベスティエが、そんな事で悩むなんてばかみたい」
「お前それ…ほぼ全部自己中じゃねえか」
「そうでしょ?ベスティエは自己中の塊なんだから。私を気遣うくらいなら無理やり連れ去ってくれた方が良い」
「お前はそれでいいのか?俺が言うのもなんだが、リヒト、お前はまだ若いんだ、俺じゃなくても問題ないはずだ」
「いちいちうるさいな、ちまちまちまちまと。
そもそも私は既に人質の域を超えているんだから、今更うだうだ言ったってもう遅いよ」
「……それは、そうだが」
「巻き込んだのは誰?私の世界に入ってきて、生活をぶち壊しにしてくれたのは誰?愛していると言ってくれたのは誰?」
「リヒト……」
「いい加減にしてよ。私は独り身なんだよ?ここで一人で自給自足できるんだよ?……私は、着の身着のまま逃げる事も出来たんだよ?」
「……俺が、巻き込んだんだよな。俺が、リヒトをこんな風にしちまったんだよな」
「だから、私はあなたを一生ゆるさない。憎んで憎んで憎み足りない。でも、それでも一緒にいたいと思える程好きになった」
「そうだな。俺も、そんなリヒトだからここにいる」
「あなたが何だろうと私はかまわない。世間が何を言おうと、私はあなたを選び、生涯非難され続ける事を選ぶ」
「…裏切る可能性があってもか?」
「ベスティエは私を裏切らない」
「はっ、大した自信だな」
「うじうじ悩むより、信じて突き進む方がいいじゃない」
「……ははっ、その通りだ」
「吹っ切れた?」
「ああ。俺はもう迷わない。この先どうなろうとリヒトを傍に置き続ける。例えリヒトが嫌がっても、だ」
「じゃあ私はこの先どうなってもベスティエの傍を離れないでいるよ。ベスティエが私を嫌がったら……一緒に断頭台に立とう」
「心中はごめんだな」
「じゃあ私を離さないで。私の覚悟を、想いを無駄にしないで」
「ああ。ーーーー悪かったな、柄にもない事を言っちまって」
「別に構わないよ。いつかはこういう話をしなければとは思ってたし」
「そうか。……有難うリヒト、愛している」
「別に何もしてないよ。ベスティエ、私も愛してる」

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