vacillate between fear and love
8話:終
微睡みを貪っている横顔をじっと強く見つめていれば、何だか喉の奥が痛くなって、切ないようなその疼きに涙が込み上げてくる。
否定のしようがない、この気持ち。
自分は彼を何者にも変えがたく、大切に思っている。
綺麗だけれど冷たくて、でも本当は優しくて。
容赦のない、全てを拒絶するかのような、その黒く澄んだ瞳が。
本当は、昔も今もずっとずっと好きだった。
こんなに好きなのに、何も言えず、伝える事さえも出来ない自分は。
いつか彼を永遠に失ってしまうのだろうか――――。
「サスケ……」
サスケはまだ目覚めない。
それを確認して、ナルトは静かに上体を起こすと、その薄く開かれた唇へと、己のそれを押しつける。
「………好きだってばよ」
決して告げられない言葉。
眠っている今囁くのは、卑怯なことだろうか?
でも、次にいつ言えるか分からない。
この先、永遠に言えないかもしれない。
だから。
ナルトの頬を涙が一粒、零れ落ちた。
《終わり》
2010.04.20end
後書き
とゆ〜わけで、どうしても「好き」と言えないナルトなのでした。
vacillate between fear and loveの意味は「不安と好きの間で揺れ動く心」という意味です。
サスケを一途に想うナルト。でもその心は不安でいっぱいなの。
それでも相思相愛だから!
一生一緒にいて、サスケに飽きる程「好き」って言ってもらえばいい
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