believe it or not
1話
2010.03.07start
前書き
一部〜二部〜帰還後設定。
原作では里抜けしたままのサスケですが、この話では、里抜けしてから帰って来るまでをサスケ視点で書きました。
まだ恋を知らなかった下忍の頃、ナルトを捨て里を抜けたサスケ。
やっとナルトへの恋を自覚した時、もうナルトは恋心を閉ざしてしまっていて……。
下忍だった当時、自分はどうしようもないぐらい幼く、その上、誰の手にも負えない程の深い傷と、絶望に打ち拉がれた憎悪を身の内に抱えていたので。
「好きだってばよ」
そんな、いくらでもテレビドラマで安売りされている台詞の、それのもたらす結果などきちんと理解せず、言葉の意味さえ深く考える事もしなかった。
まだ、恋も愛も、知らなかった。
単なる単語の一つとしてしか、理解していなかった。
本気で、たった一人の人間を好きになった事がなかった自分は、ただの興味本位で「好き」という言葉を受け流していた。
言葉の持つ、その本当の意味も、怖さも知らず。
周囲に数多くいた、取り巻きのような女達から「好き」だと、それこそ一方的に幾度となく告白されて、そのあまりの鬱陶しさに辟易していた――――――ある日。
必要以上に他人との接触を拒んできた己の領域へと突然飛び込んできた、全くの異分子。
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