蒼い瞳の君に
3話
好き。
……という非常に単純かつ他愛ない事実を自分が自覚したのは、つい最近の事だった。
もちろん、俗に言う一目惚れの類ではない。
最初は何もかもが正反対の、どちらかといえば毛嫌いしていたはずの、ただの足手纏いなマンセル仲間だった。
気に入らない。
それが相手の第一印象。
けれど、気に入らない、と、気に掛かる、は一見違っているようで実はよく似ていた。
気に入らない、がいつの間にか、気に入らないけど気に掛かる、になり、時間が経つにつれて、気に入らないけど無視できない、に変化していったのだ。
でなければ、どうしてこんなに気に入らないはずの人間の事ばかり見てしまうのか。
気付けば、その金髪を目で追っていて、話したい、傍にいたい、その笑顔を自分にも向けてほしい、と思うようになっていた。
このドベでウスラトンカチな相手に対して。
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