邂逅
5話
心と身体を繋げて。
甘く激しく求める声と、優しい抱擁。
他の誰よりも何よりも、サスケの腕は暖かかった。
どうしようもなく切なくて、どうしようもなく幸せな感情が、胸の奥から込み上げてくる。
指先から、髪の先から溢れてしまいそうな程に。
愛しいと思う気持ち。
以前は知らなかった、誰かを大切に思う気持ち。
孤独だった自分に、家族のように、友達のように、恋人のように、繋がりを与えてくれたサスケ。
幸せだった。
きっとこれからも、自分のサスケに対する気持ちが揺らぐ事はないだろう。
そう………絶対に。
けれど―――――――
サスケは違っていた。
髪に触れる風の匂い。
甘い花の香り。
数年前と何も変わらぬままに、静かに咲き誇る山百合。
だが今この地を訪れるナルトの隣に、常に共に在った彼の姿はない。
ナルトただ一人だけ。
シン……と痛いほど静まり返ったそこは、無性に寂寥感だけを募らせる。
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