甘く、低い声が熱い吐息を孕んで僕の名を呼ぶ。その声がひどく苦しそうで、でもどうして彼が苦しそうにしているのか全く分からない僕には成す術が無い。腰と背中に回された逞しい腕は力強く僕を抱き締めていて、背骨が軋んでしまいそうなほどだった。
「……リーマス」
再び彼が名前を呼んだ。今度はひどく愛しそうに、それでもやはり彼は苦しそうで、僕は心臓をぎゅうっと締め付けられる錯覚に陥った。あぁ苦しい、苦しい、苦しい。そう感じて、僕はようやく彼と僕がお互いに襲われているこの感情の正体に気付くのだった。
(あぁそうか、これが)
end.