吸血

※グリーン先天性女体化


美しくも艶かしい彼女の唇は俺の理性を揺さぶるひどく恐ろしい凶器である。真っ赤なグロスに彩られて輝くその唇が、俺の名前を紡ぐ。可憐な声が響き渡る。

「ヤスタカ、」

我らがリーダー様は今日も今日とてその美しさを少しも曇らせずに凛として麗しい。育ちの良さを感じさせる仕草や振る舞いは彼女が少しばかり尊大に振る舞おうとも厭らしさを感じさせない。胸の辺りまで伸ばされたしなやかな髪は花のような柔らかな芳香を漂わせ、雪のように白い肌はきめ細かく傷一つ無い。スレンダーな身体は抱き締めてしまえば折れてしまいそうなのに、琥珀色の瞳はきらきらと宝石さながらに美しい色をしている。

「はい、リーダー」

頭を垂れ、彼女の前で跪く。真っ黒なジャケットに身を包む彼女は、暗く静かなこの空間に溶け込むほどの妖しい雰囲気を漂わせている。もう一度名を呼ばれ、顔を上げると彼女が身を屈めて俺の顎に指を這わせた。白魚のように細く、滑らかな指先が愛撫するように触れる。それから肌の感触を楽しんだらしい彼女は楽しげに微笑むと、食い込ませるように爪先で頬を引っ掻いた。一瞬感じた熱い感触に思わず目を閉じると、楽しげな笑い声が鈴のように響く。見上げた先では愉しそうに口角を上げる彼女が居て、俺もそっと微笑み返した。すると屈み込んだ彼女はまるで、肉食獣のように凶悪な表情で首筋に噛み付いてきた。その刹那、暗闇で輝いた琥珀がさながら猫のようでぞくりとする。首筋から鎖骨を吟味するようにゆるい噛み付きを繰り返した彼女が動きを止める。あぁ、きっといい場所が見つかったのだと思う。

「…………見つかりました?」

返事は無い。しかし喉を鳴らして彼女が笑ったのが分かった。見つけたその場所――――肌の一番薄い場所に狙いを定めた彼女は、がぶりと容赦ない力で噛み付いた。


end.




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