かわいいきみをもっと見せて



僕の恋人がいかに可愛いかなんてことは、きっと言葉じゃとても言い尽くせないだろう。

彼と一緒に母の作ってくれた昼食を食べる。TVゲームで対戦をしたり、お互いの好きな漫画を読む。そうやって過ごしている内に、挙動も言動もぎこちなかったグリーンはその様子も無くなり、いつもの騒がしい幼馴染に戻っていた。どうやら、久しぶりに家に来たせいで僅かに緊張していたらしい。話をしていると懐かしそうに目を細めるグリーン、最近のバトルについて訊いてみると嬉しそうに笑うグリーン、イーブイを優しい手つきで撫でるグリーン、目を輝かせてゲームに夢中になるグリーン、僕に勝って得意げにガッツポーズをするグリーン、ピカチュウを振り回してはしゃぐグリーン。全てが僕を嬉しくさせる。

「…………なんだよレッド、なんでこっち見てんだよ」
「うん」
「いや、うんじゃねーよ。画面見ろ、画面を」
「うん」
「だからさ……つーか、その無表情で見詰められると怖いんだけど」
「うん」
「……なぁ、今ってゲーム中だよな?」
「グリーン」
「あ?」
「好きだよ」
「…………は……?」
「好き。グリーンのことが好き」
「っ、な……!」

目を見開いてぱくぱくと口を動かすグリーンが可愛くてたまらなくて、コントローラーを落とした手首を掴むと、たちまち火を噴いたように彼は顔を真っ赤にした。そのまま細い腰を抱き寄せると、慌てた声が上がったので仕方なく顔を上げた。ちょっと待て、と怒った顔でグリーンが言ったので手だけを離す。その腰の手も離せよと言われたけれど、僕には離す気はさらさら無い。うぅ、と言葉に詰まったまま、グリーンは真っ赤な顔で僕を睨む。睨め付けてくる力強い琥珀の瞳は、きらきらと雰囲気に場違いなほど綺麗だ。

「お前、なぁ…」
「グリーンは、嫌?」
「…………そーゆーこと、今更……訊くかよ…」
「僕は訊く」
「……さいですか」

呆れたような返事。だけど彼が柔らかく微笑んで僕の頬に手を伸ばしたのを肯定と受け取り、首筋にキスを落とす。催促するようにそっと柔らかな肌に歯を立ててみると、甘い吐息混じりにグリーンが降参しました、と呟いたのが聴こえたので、僕は妥協せずにこの可愛らしい恋人を愛でることにする。


end.




ホーム / 目次 / ページトップ



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -