無題

※主人公女体化 ※R15


彼は狂っている。
靄がかかったような意識の中で、私はぼんやりとそう思った。


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首筋に掛かる荒い息は火傷してしまいそうなほどに熱く、下卑た熱を孕んでいた。押し倒された私の身体は、馬乗りになった彼の拘束により少しの身動きも取れない状態になっている。手首を掴む力はひどく強く、血液の流れを止めようとせんばかりの締め付けだった。

あぁ、もしかして本当にこの人はそうしようとしているのかもしれない。なんて考えたら無意識に笑みが零れる。唇が歪んで口角が上がるのを自分でも感じた。瞬間、頬に鋭い衝撃。ぶたれた勢いで即頭部を床に打ち付けて痛みに顔を顰め、それからようやく頬に痛みが訪れた。口を閉じていたお陰で舌を噛むことは無かったが尋常ではない鮮明な痛みが襲ってきた。激痛。低く呻きながら、緩くなった拘束から抜け出した手で頬に触れようとすると今度は逆の頬をぶたれた。痛い。僅かに噛んでしまった舌の端から血が溢れてきて口腔が鉄の味で満たされた。

彼が何かぶつぶつと呟く声が聞こえたような気がしたけれど、耳も何処かおかしくなっているらしくてヘッドフォン越しのようにしか聞き取れない。すこしだけ、悲しいような気がした。好きだった彼の声をはっきりと聞くことが出来ないから。
でも、それでも。

痛みを堪えて見上げた先の彼が飢えた猛獣のようにぎらぎらと目を輝かせて舌なめずりをする表情だけで私は安堵感で胸がいっぱいになった。命令の通りに精一杯の笑顔を貼り付け、白濁に塗れてかぴかぴになった短いプリーツスカートの裾を持ち上げてオネダリの言葉を紡ぐ。彼に教えられた通り、彼が望む言葉で売女のように誘惑する。

さぁ足立さん、好きなだけ私を穢して壊して犯して。満足の行くまで好きなだけ遊んでください。私はそれに抗う術など持ち合わせていない弱者、いくら貴方に蹂躙されても文句1つ吐かないわ。

そう、私は貴方の望む玩具なのだから。


end.




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