下心です構いませんか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「志摩ー」

「ん?」


秋空のもと、肌寒さをより一層感じるようになった季節のこと
燐は庭掃除そしていた(やらされていた)廉造の元に駆け寄ってきた


「奥村君、どうかしたん?」

「おう!志摩は掃除終わりそうか?」

「あー、あとちょっと掃いてゴミ集めれば終わりやで」

「おっし!なら手伝う!」

「え?奥村君の用事は」

「志摩の掃除が終わってからでも大丈夫だって!」


珍しくニコニコと怪しいくらいに笑いながら燐が廉造の背中を押した


******


「ほいで?奥村君の用は」

「ちょっと待ってろよ」


掃除道具の片付けまで終えて、廉造が問いかけると燐が座って待っているように言って家の中へ入っていってしまった
廉造も待ってるように言われたからには待っているしかない


「お待たせ!」

「お!」


燐は尻尾を楽しげに揺らしながらお盆を持ってきた
座っていた廉造からはそのお盆に何が乗っているのか見ることは叶わない


「なになに?」

「あのな、今日子猫丸に教えてもらいながら作ったんだけどさ・・・」

「おお!」


見るとそこには上生菓子があった
燐が照れたように笑いながら話を続ける


「まぁ子猫丸も見よう見まねで作っただけだからって、職人さんにも教えてもらったんだけど・・・・」

「へぇ、でも初めなんやろ?ここまで出来ればすごいことやと思うで!」

「ありがとな!」


燐は褒められたことが嬉しいのか尻尾をさらに振りながら日本茶を入れていた


「・・・なんや、ピンクいの多いなぁ」

「ん?だって志摩っていったらピンクじゃん」

「え?俺のこと思って作ってくれたの」

「ダメだったか?」

「い、いやいやいやいやいや!!そないなことないけどさ!ちょっと聞いてみたかっただけや」


こんなとき廉造は自分のヘタレさを呪うのであった
その間にも燐は二人分の日本茶を注ぐ


「それが姫菊で、隣が撫子」

「あ、これは知っとるでー梅やろ?」

「そうそう!」


ずっと日本茶を啜ってから燐がホッと一息ついた


「最初はな、中々うまく出来なかったんだけどよ何かしたくて・・・」

「奥村君・・・・・」

「志摩・・・・・・?」


遠くを見つめる燐に、廉造は堪らず燐の肩に手を置き、顔を近づける
燐はそれを不思議そうにそれを見つめる


「りーんーくんっ!!」

「俺らもいれてーな!!」


まさに重なろうかというとき、燐の背後から柔造と金造が出てきた


「あ、柔造さん!金造さん!」

「折角やし、燐君と一緒にこのお菓子食べてもええ?」

「はい、どうぞ!」


燐はパッと後ろを振り向いてしまったため、廉造の計画は苦しくも失敗に終わった
そして、(廉造が思うに)邪魔者の二人は燐が作ったであろう上生菓子片手にやってきたのだ


「オラァ!廉造!!俺らの分の茶も用意せぇ!!」

「はぁ!?」

「あ、俺やりますよ!・・・湯のみが足りなかっ・・・」

「廉造取り行って来い!!」

「そんなぁ!」

「燐君に行かせる気か?」

「金造さん!別に俺・・・・」


なんて言われて、取りに行かない訳がない
廉造が渋々二人分の湯飲みを取ってくると、燐の両隣はがっちり固められてしまっていた


「・・・・のっ!!」

「志摩?どうかしたのか?」

「・・・・・・・・・・・・・」


それはもう、盛大なスキンシップをしていた兄二人に、廉造が爆発したのは言うまでもない
さらにその中央で、燐が擽ったそうに身を捩じらせてたなんて言いたくない(廉造談)



End.
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○アトガキ
お兄さん達は恋仲の二人に構うだけ構いそうだなぁーっていう
取り合えず、廉造が爆発したからいいかなっていう
私にしては珍しく甘く出来てた・・・・か、な・・・・・・・・・
上生菓子は全部錬切を使ったものでしたー!兄さんなら作ってくれそう^^

そして簀桜さんにはご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありませんでした!
素敵な企画に参加できてたのしかったです!ありがとうございました^^


湖倶瑠璃.


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はらはら
モラトリアム人間



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