I can't smile without you.


「あのね、―」


夕暮れの帰り道。カヲル君、何か言いかけていたよね?悲しそうな横顔、まだ覚えてる。

「ごめっ、忘れ物しちゃった!!」


最後まで聞かずに逃げて、ごめんなさい。怖かったの。だって、あの表情…別れ話だったんだよね?


あの日からずっと、嫌な予感がしてた。別れ話でも何でも、聞いておくんだったって…


「名字」


今日、シンジ君に会った。カヲル君からの手紙貰ったよ。


『名字さんへ

こうやって、君と話しをするのは初めてだね。―』


綺麗な君の字で綴られていたのは、私なんかが知ってはいけない、恐ろしいこと。


『こんな話を長々と綴ってごめんね。初めて書いたから、きちんと文になっているか不安だな。でも、君には、名字さんには知っておいて欲しかったんだ。愛を込めて、渚カヲル』


涙が止まらないよ?シンジ君が帰った後でよかった、こんな姿見られたくないもん。


繋いでいた手を、想いを解くのはとっても簡単だね…


解けて、それぞれが個々に戻って、漸くその大切さに気が付いた。同時に、戻すことの難しさも…


常夏なのに、顔を撫でる風が冷たい。今になって流してる涙に、君は呆れてる?色んなことを知ったよだけど、遅すぎたみたいだね…



I can't smile without you.



(ごめん、ごめん、名字)


(カヲル君は、死んだんだ―)





あとがき
実家で久々に聴いた曲で書いてみました。

シンジ君は会いに行かないよ!?っても思ったんですがそこはカヲル君の最期のお願いだから!!と自分の中で決着を付けました。

こんなんでしたが此処まで読んで下さってありがとうございました!!!


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