twinkle, twinkle
暗いです。














草原に佇む私。


周りには家屋はおろか木々も何もない。草原だけが広がり、唯ひたすらに続いている。


見上げた空に広がるのは深い夜と、瞬く月と星。私が住んでいた都会では見ることは叶わない壮大な風景に声も出ない。


「綺麗だよね?」


ふいに掛けられた懐かしい声。忘れる筈のないその声は、今となっては聞きたくても聞けない声だった。


「か、ヲルくん。」


水分を失ってぱさぱさした口からは情けない声が出てきた。あぁ、久しぶりに彼の耳に届く声がこんなだなんて、きっと幻滅されてしまう。


「吃驚した?前に見てみた言って言ってたから、つい、ね。」


先程まで何も、誰も居なかった平原の、それも私の少し先にカヲル君が居る。にこやかに笑う彼は私の記憶に残る彼と全く一緒で、これが夢や幻出会って欲しくないと心底願う。


「覚えてくれてたんだ。」


「名字の事だからね。」


ありがとうと言いたいけれど、口を開いたらきっと感情を抑えられない。色んなことを言ってしまいそう。シンジ君が私に伝えてくれたことだとか、この世界の事だとか。


「ねぇ、名字。」


「なに、カヲル君?」


「あの星をどれでもいいから掴めるかな?」


そうしたら一緒に居られるよ。ずっと


記憶に残る優しい笑顔のカヲル君が発したその言葉。ほんと?掴めたら、掴んだら一緒に連れて行ってくれる??


ハッと浮上した意識を無理やり覚醒させ、飛び出した白いベット。飛び出したときにブチッと不快な音がして腕に痛みが走ったけど、そんなこと気にしてられない。階段を駆け上がって重厚な扉を開けた。


広がるのは先ほどとは違った無機質なコンクリートだけれど、空には月と星が輝いている。ねぇ、あれを掴めばいいのよね?


下で女の人達が何かを叫ぶ声が聞こえたけれど、気にすることもなく駆けだし、夜空へとコンクリートを蹴り上げた。



twinkle, twinkle



瞬く星を目印に、僕の元に来て下さい











あとがき

プロポーズの日の為に書いたんですが、なんでしょうこれ!?あれ、確かに永久就職してるけどぉおおおおおおお。


これはプロポーズだと言い張ります!!!
皆さんは真似しないでくださいね!!!!!!!!!

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